ADHDとASDの違いを比較表で解説|併存時の矛盾が生む生きづらさの正体【医師監修】

  • URLをコピーしました!

「職場で注意されても、自分のこだわりが捨てられない。私はADHD?ASD?どっち?」

まずはその切実な疑問にお答えいたします。

監修
川口メンタルクリニック院長 今雪 宏崇

ASDとADHDの違い

ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)は、根本的な特性が異なります。

ポイントは以下の3つ。

同じ困りごとでも原因が異なる
同じ「ミスが多い」悩みでも、ADHDでは注意の維持や切り替え、ASDでは指示の曖昧さや独自の手順へのこだわりなど、背景が異なる場合があります。

約27〜30%に両方の特性がある
特性が重なることで葛藤が生まれやすく、単独の場合よりも深刻な悩みや二次障害(うつ・不安)に繋がりやすいのが特徴です。

本人の「努力不足」ではなく「脳の特性」
診断を受けることで自己理解が進み、特性に合った支援や対処法を選べるようになります。

💡 一目でわかる「中心的な特性」の違い

ADHD:不注意、多動性・衝動性が中心
ASD:社会的コミュニケーションの困難と、限定的・反復的な行動や興味が中心

詳しい特徴の違いは、以下の比較表を参考にしてください。

【ADHD・ASD比較表】

項目ADHDASD
全体の
特徴
不注意
多動・衝動性
(ブレーキの不足)
社会性の困難・
強いこだわり
(独自のOS)
集中力の傾向注意が散漫で集中が続かない(よそ見)特定の事柄に過度に没頭する
(過集中)
行動の
特性
衝動的でじっとしていられないルーチンを重視し、急な変化を嫌う
対人関係衝動的に話し、会話を遮ってしまう相手の意図や場の空気を読むのが苦手
整理整頓片付けが苦手で忘れ物が多い独自の規則性があるが、空間認識が苦手な面も
感覚の
特性
周囲の刺激に気が散りやすい音・光・感触などへの過敏または鈍麻
薬物療法の
有無
特性を緩和する治療薬が存在する
(コンサータ・ストラテラなど)
特性そのものに対する治療薬はない
(うつなどの二次障害には処方あり)
中心的
アプローチ
薬物療法 +
行動療法(タスクの視覚化など)
環境調整 +
コミュニケーション支援(SSTなど)

【受診の目安】
・仕事や学業で繰り返しミスが改善できず、評価や人間関係に影響が出ている

・対人関係で頻繁にトラブルが起き、孤立感を抱えている

・抑うつ状態や強い不安があり、日常生活に支障が出ている

「生きることがつらい」「死にたい」と感じるなら、原因探しより先に精神科・心療内科の受診を。

特性による生きづらさが積み重なり、二次障害(うつ病などの別の不調)を併発している可能性があります。

あなたが悪いのではなく,心のSOSです。


実は、日本の成人(20〜70歳)の発達障害者838名を対象とした研究では、ASDとADHDを併せ持つ人は26.8%と報告されており(※)、両方の特性を持つ人も珍しくありません。

なお、発達障害にはADHD・ASDのほかにLD(限局性学習症)などもありますが、本記事では特に混同されやすいADHDとASDの違いに絞って解説します。

ここから先の本編では、ADHDとASDの具体的な違い、そして併存型特有の「二重の生きづらさ」を軽減するためのヒントを、図や事例、現場のリアルなエピソードを交えてさらに詳しく解説していきます。

最終更新日:2026年4月14日

目次

ADHDとASDの違い|「行動のブレーキ」と「社会脳スタイル」2つの軸で理解する

ADHDとASDの根本的な違いは、脳が情報を処理する「スタイル」にあります。

ADHDは行動や注意をコントロールする「ブレーキ(実行機能)」の課題ASDは社会性や感覚を司る「OS(社会脳)」の課題という、2つの異なる軸で理解するとイメージしやすいです。

ADHDは「行動のブレーキ(実行機能)」の特性

ADHD(注意欠如・多動症)とは、脳の「実行機能」と呼ばれる行動や注意をコントロールする力のアンバランスさ(ブレーキの効きにくさ)が特徴の発達障害です。

脳のイメージ
高性能なエンジンを積んでいるが、ブレーキが少し効きにくい状態

臨床の視点
「わかっているのに、体が先に動いてしまう」「別の刺激が入ると、そちらに注意が吸い寄せられる」といった、行動のコントロールの難しさが生きづらさの根底にあります

ASDは「社会脳と感覚処理」の特性

ASD(自閉スペクトラム症)とは、周囲の情報を処理し、社会や他者と関わるための「OS(基本システム)」そのものの違いが特徴の発達障害です。

脳のイメージ
独特の感度を持つ高性能なセンサーと、独自のルールで動くOSを搭載している状態 。

臨床の視点
「暗黙のルールを読み取るプロセスが、定型発達の方とは異なる」

「特定の音や光が、痛みとしてダイレクトに突き刺さる」といった、世界との関わり方の違いが特性の正体です 。


ADHDとASDの基本的な解説は、以下の記事をごらんください。

【生活場面別】大人のADHDとASDの見分け方|あなたはどちらの傾向が強い?

大人のADHDとASDの見分け方は、表面的なトラブルの形ではなく、その行動を引き起こしている背景の「脳の特性(原因)の違い」で判断します。

同じ職場のミスや人間関係の衝突であっても、注意のコントロール(不注意・衝動性)に起因するものがADHD対人関係や感覚のスタイル(強いこだわり)に起因するものがASDの特性です。

職場や日常生活におけるADHD・ASDの場面別対比表

ADHDとASDの具体的な見分け方を比較図で示した

仕事、対人関係、日常生活における具体的な違いと傾向は以下の対比表の通りです。

【場面別 ADHD・ASDの見分け方】

場面ADHDASD
仕事締切を守れない、ケアレスミスを繰り返す、優先順位がつけられない暗黙のルールが分からない、急な予定変更でパニック、マニュアル外の対応が苦手
対人関係
コミュニケーション
衝動的に話を遮る、約束を忘れる、話しすぎてしまう冗談や皮肉が通じない、一方的に話し続ける、相手の表情が読めない
日常生活物をよくなくす、時間管理ができない、片付けが苦手(散らかしっぱなし)予定変更に強く抵抗する、特定の音や匂いが耐えられない、片付けが苦手(自分なりのルールがある)

両方の特性に当てはまる場合は、ADHDとASDが併存している可能性もあります。

ただし、表の項目だけで自己判断はできません。

今雪院長

大切なのは、「どちらの名前が当てはまるか」よりも、今の生活で何に一番困っているかを整理することです。

たとえば、同じ「仕事でミスが多い」という悩みでも、ADHDとASDでは背景が異なります。

次の図解では、ミスが起きる仕組みを「注意がそれるタイプ」と「集中しすぎるタイプ」に分けて見ていきます。

仕事・行動面の違い|ADHDの「注意散漫」とASDの「過集中」が招くミスの正体

同じ「ミス」でも、その背景にあるメカニズム(原因)は異なります。

ADHDタイプ(散漫型)
作業の途中で別の刺激に注意がそれ、気づくと違うことをしている。

ASDタイプ(過集中型)
自分のペースやルールを崩せず、特定のことに集中しすぎて、周りの声が耳に入らない

原因が違えば、選ぶべき対策も変わります。

【ADHDとASD ミスの背景と対策】

タイプミスの背景効果的な対策
ADHD傾向外からの刺激に注意がそれやすいアラームやチェックリストで、注意を戻す
ASD
傾向
自分の関心やルールに集中しすぎやすい指示をテキスト(文書)で明確にする

ADHD・ASDの方特有の疲れやすさについて、以下の記事でくわしく解説しています。

両方の特性がある?ASD・ADHD併存の見分け方

大人の発達障害(成人のADHDやASD)では約26.8%(約4人に1人)が両方の特性を併せ持つ「併存」であると報告されています。

自分の中に「新しい刺激を求めるアクセル(ADHD)」と「変化を嫌うブレーキ(ASD)」が共存するため、単独の特性よりも自分の中での矛盾した葛藤が生まれやすく、心身を激しく消耗しやすいのが特徴です。

ADHD・ASD併存型が抱える「4つの葛藤パターン」と対処のヒント

特性が重なっている場合に、自分自身の中で起こりやすい「4つの代表的な葛藤パターン」と対処のヒントについて、以下の表でご確認ください。

ADHD・ASDが併存している場合の4つの葛藤パターン

症状状態対策
過集中と
注意散漫の同居
興味があることは何時間も集中するが、苦手なことは5分も続かない興味と実務をリンクさせる工夫

タイマー活用
衝動性と
こだわりの矛盾
衝動的に予定を変えたいのに、こだわりで変更できずストレスどちらが優位か見極め、優先順位をつける
対人トラブルの複雑化衝動的発言+空気が読めない=二重に誤解される事前に伝え方をメモ

話す前に一呼吸
二次障害リスクの上昇単独より困りごとが複雑になりやすく、うつ・不安が併発しやすい二次障害の治療を優先

専門医に相談

併存時の判断方法|どちらの特性が主か見極める

併存している場合、「どちらの特性がより強く困りごとを引き起こしているか」を医師が慎重に見極めます。 

主となる特性に応じて治療や支援の優先順位が変わるため、自己判断ではなく精神科・心療内科での診断が重要です。

今雪院長

診察では「ADHDとASD、どちらですか?」と聞かれることがあるのですが、実際には両方の特性が重なっているケースが少なくありません。

大切なのは「どちらか」を決めることよりも、「今の生活を一番邪魔している困りごとはどれか」を見極め、対処の優先順位を一緒に考えることです 。

併存型特有の「生きづらさ」|なぜ単独より二次障害のリスクが高まるのか?

ADHDとASDが併存をアクセルとブレーキに例えた図

ADHDとASDが併存していると、単独より生きづらさが増す傾向があります。

新しい刺激を求めるADHD」と「変化を嫌うASD」のように、自分の中に矛盾する特性が共存するため、心身の消耗が激しく、うつや不安障害などの二次障害を招きやすいのが特徴です。

ただし、医師の見立てのもと、特性に合った支援や環境調整を行うことで生きづらさの軽減が期待できます。


ASD/ADHD 二次障害(うつ病・不安障害)のリスクと対応(タップで開きます)

ASD/ADHDでは、長年の生きづらさや対人トラブルの積み重ねから、二次的に精神疾患を発症しやすくなります。

ASDの約70%ADHDの約50% が何らかの精神疾患(うつ病、不安障害、適応障害など)を併存しているという報告があります

・二次障害がある場合は、まずそちらの治療や環境調整を優先します。

・二次障害が改善してから、発達障害の特性への対応を進めるのが一般的な流れです。

ADHD・ASDの診断基準の違いと受診の目安

ADHDASDでは、診断で重視される「時期」と「場面」が明確に異なります。

以下のDSM-5基準比較表で、その違いを確認してください。

ADHDASD
評価の主軸行動の制御
(不注意・多動・衝動性
社会性とこだわり(対人交流・感覚過敏)
発症時期の定義12歳以前から存在していること早期発達期から認められること
場面の条件2箇所以上(家庭と職場など)で支障複数の状況で持続的に認められること

ADHDの診断基準(DSM-5)のポイント

ADHDの診断では、不注意や多動の症状が「いつから」「どこで」起きているかが重視されます。

ADHD診断の核心:12歳以前から「2つ以上の場面」で支障があるか

成人の場合、不注意・多動のそれぞれ5項目以上が該当し、それが6か月以上持続していることが目安となります。

また、職場だけでなく家庭など、複数の場面で社会的な支障をきたしていることが必須条件です。

今雪院長

なぜ「12歳以前」が重要なの?

発達障害は脳の特性であるため、大人になってから突然発症することはありません。

診察では、子供の頃のエピソードを確認し、「元々の特性」が環境の変化(就職など)によって表面化していないかを丁寧に見極めます。

ASDの診断基準(DSM-5)のポイント

ASDの診断では、コミュニケーションのスタイル感覚の偏りが主軸となります。

ASD診断の核心:対人交流の困難さと「強いこだわり」の持続

視線が合いにくい場の空気を読むのが難しいといった「社会的なズレ」に加え、特定の習慣への強い固執や、音・光への過敏さが早期から見られるかがポイントです。

今雪院長

大人の場合、長年の努力や工夫で特性を隠す(カモフラージュする)ことが上手な方も多いです。

しかし、その過剰な適応」こそが疲弊や二次障害の原因となります。診断では、今のあなたがどれだけ「無理」をしているかを重視します。

これら2つは以前の診断基準(DSM-IV)では「併記できない」とされていましたが、現在のDSM-5では「両方の診断を同時に下す」ことが認められています。

高い併存率は、この診断基準の変更によって、より実態に即した評価ができるようになった結果でもあります。


ASDの「カモフラージュ(擬態型ASD)」については、以下の記事でも解説しています。

受診を迷っている方へ|大人のADHD・ASDセルフチェック

次の項目のうち、当てはまるものを数えてみてください。
気になる項目が多く、生活に支障が出ている場合は、受診を検討するサインです。

ADHD傾向

  • うっかりミスや忘れ物が多い
  • 締切や時間の管理が苦手で、つい遅れてしまう
  • じっとしているのが苦手、貧乏ゆすりなどが出やすい
  • 思いついたことをすぐ口に出す・行動してしまう
  • 興味が次々移り、一つのことを続けるのが苦手
  • 片付けても、すぐ散らかってしまう

ASD傾向

  • 会話で冗談や皮肉、遠回しな表現が伝わりにくい
  • 急な予定変更が苦手で、強く不安になる
  • 自分なりの手順やルールへのこだわりが強い
  • 音・光・においなどに敏感、または鈍感
  • 相手の表情や場の空気を読むのが難しいと感じる
  • 興味のあることには時間を忘れて没頭する

ADHD側に多くつけば行動面の特性が、ASD側に多くつけば対人・感覚面の特性が強い傾向です。
両方に多くつく場合は、併存の可能性があります。

ただし、チェックの数だけで自己判断はできません。
正確な判断には専門医による診察が必要です。

気になる方は、次の「受診を検討すべきサイン」もあわせてご確認ください。

受診を検討すべき5つのサイン

以下に当てはまる場合は、精神科・心療内科への受診を検討してください。

・仕事や学業で繰り返しミスをして改善できず、評価に影響が出ている

・対人関係で頻繁にトラブルが起き、孤立感を抱えている

・時間管理や優先順位づけができず、締切を守れない

・周囲から「空気が読めない」「落ち着きがない」と繰り返し指摘され人間関係に影響がある

抑うつ状態や不安が強く、上記により日常生活に支障が出ている(二次障害の可能性)

発達障害(ADHD・ASD)と診断されるメリット|「努力不足」からの解放

診断を受ける最大のメリットは、長年の生きづらさが「努力不足」ではなく「脳の特性」であると理解できることです。

自分を責め続けてきた方にとって、この理解は自己肯定感の回復につながります。

また、診断によって障害者雇用促進法に基づく合理的配慮を職場に求めやすくなるなど、具体的な支援の選択肢も広がります。

診断テストやセルフチェックの限界と正しい使い方

・ネット上の診断テストは参考程度に留めてください。これらは医学的な診断ツールではありません

・確定診断には医療機関での問診・診察・心理検査(WAIS-IVAQ日本語版など)が必要です

・セルフチェックは「受診すべきか」を判断する材料として活用し、最終的には専門医に相談しましょう

発達障害の検査、精神科初診の流れについては以下の記事で解説しています。


知っておきたい発達障害に関する相談先(タップで開きます)

発達障害者支援センター
診断前でも相談可能。各都道府県に設置。
生活上の困りごとへのアドバイス、医療機関の紹介など

精神科・心療内科
診断・治療を行う医療機関。
初診は予約が必要なことが多いため、早めに確認しましょう

ADHDとASDの治療・対処法の違い|特性に合わせたアプローチ

ADHDとASDのアプローチの違いを比較図にしたもの

ADHDは薬物療法と行動療法が中心ASDは環境調整とコミュニケーション支援が中心です。

 併存の場合は両方のアプローチを組み合わせ、個々の困りごとに応じて優先順位をつけます。

ADHDとASDの治療・対処法の違い

ADHDASD
中心的アプローチ薬物療法

行動療法
環境調整

コミュニケーション
訓練
薬物療法コンサータ
ストラテラインチュニブなど
併存症状(不安・うつ)への薬物療法。

ASD自体の薬はない
環境調整タスク管理ツール

リマインダー

優先順位の見える化
予測可能なスケジュール

刺激の軽減

ルーティン化
スキル訓練タイムマネジメント

衝動コントロール
SST(ソーシャルスキルトレーニグ)

感情理解など
併存時どちらの特性が主かを見極めて
優先順位をつける
相反する特性(過集中と注意散漫など)への個別対応

今すぐできるセルフケア(6つのサインと対処法)

ADHD・ASD診断の有無に関わらず、今日から始められる生きづらさの解消法です。

困りごとを具体的にメモする
いつ・どこで・どんな場面で困るかを記録し、受診時の参考にする

生活リズムを整える
睡眠・食事の時間を固定し、脳の負担を減らす

タスクを細分化する
大きな作業を小さなステップに分け、達成感を積み重ねる(ADHD傾向向け)

予定を事前に知る工夫
 カレンダーやリマインダーを活用し、急な変化のストレスを減らす(ASD傾向向け)

理解者を増やす:
信頼できる職場の上司や家族に状況を共有する

発達障害者支援センターに相談する
 診断前でも利用可能で、生活上のアドバイスが受けられる

ASD/ADHD 職場での合理的配慮の具体例|無理なく働くための調整

障害者雇用促進法に基づき、企業は合理的配慮を提供する義務があります。

ADHD向けの配慮
・タスクの優先順位を明確に指示する

・リマインダーやスケジュール管理ツールの使用を許可

・静かな作業スペースの提供(気が散る刺激を減らす)

ASD向けの配慮
・指示を口頭だけでなく文書で明文化する

・予定変更は可能な限り事前に伝える

・感覚過敏に配慮(蛍光灯をLEDに変更、ノイズキャンセリングイヤホンの使用許可など)

今雪院長

診察では「特別扱いは気が引ける」とためらう方も多いです。

でも、特性に合った環境を整えることは、職場全体の生産性にもつながる、合理的な配慮です。

診断書や口頭での説明を通じて自分の特性を伝えることが、無理なく長く働き続けるためのポイントです。


ASDの職場での対処については、以下の記事でくわしく解説しています。

ADHDとASDの違い|よくある質問(FAQ)

Q. ADHDとASDの特徴の違いは?

ADHDは「注意散漫・多動・衝動性」など行動面の課題が中心、ASDは「対人コミュニケーションの困難・強いこだわり」など対人・感覚面の課題が中心です。 

同じ「ミスが多い」でも、ADHDは注意が続かないことが原因、ASDは暗黙のルールが読み取れないことが原因であるなど、背景が異なります。

ASDとADHDはどう判断する?

自己判断は困難で、精神科・心療内科での専門的な診断が必要です。 

医師による問診に加え、心理検査(WAIS-IVなど)を組み合わせて総合的に判断します。ネット上のセルフチェックは参考程度にとどめてください。

アスペルガーとASDの違いは?

呼び方が変わっただけで、現在はどちらも「ASD」です

昔の呼び名: アスペルガー症候群
今の正式名称: ASD(自閉スペクトラム症)

かつては知的発達や言語発達に遅れがない場合を「アスペルガー症候群」と呼んでいましたが、現在はすべてASDというひとつのグループに統合されました。

ADHDとASD、どちらの方が生きづらい(辛い)ですか?

どちらの特性が「より辛いか」は、その人が置かれている環境や、周囲のサポート状況によって全く異なります。

一般的に、ADHDはミスや衝動的行動による自己否定感を抱きやすく、ASDは職場の人間関係や環境変化による疲弊(カモフラージュによる消耗)を感じやすい傾向があります。

さらに、成人の約4人に1人にみられる「ADHDとASDの併存」の場合は、自分の中にアクセルとブレーキが同居する状態となり、葛藤や心身の消耗が最も激しく、うつなどの二次障害のリスクが高まるとされています。

大切なのは、どちらが辛いかを比べることではなく、いま目の前の生活で何に最も困っているかを見極め、適切な対処を始めることです。

まとめ|自分の特性を理解し、適切な支援を受けよう

今回は、ADHDとASDの違いについて解説しました。

ASDとADHDの違い まとめ

ADHDは行動面(不注意・多動・衝動性)、ASDは対人・感覚面(コミュニケーション困難・こだわり・感覚過敏)が中心的な課題

同じ困りごとでも原因が異なるため、特性に応じた理解と対処が必要

発達障害のある成人の約27〜30%がASDとADHDを併存しており、両方の特性を持つことは珍しくない

自己判断ではなく、精神科・心療内科での専門的な診断を受けることで、適切な支援につながる

・自分が悪い」ではなく「脳の特性」と理解することが、自己肯定感の回復への第一歩

「自分はASDなのかADHDなのか」と悩んでいる時点で、あなたはすでにご自身と真剣に向き合っています。

生きづらさの原因は努力不足ではなく、脳の特性によるものかもしれません。

ひとりで抱え込まず、まずは専門の医師に相談してみてください。

当院は埼玉県のJR川口駅東口から徒歩2分、20歳以上の成人の発達障害診断に対応しています。

あなたらしく生きるための方法を、一緒に考えていきましょう。


※当院では、コンサータとビバンセの処方は行っておりません。


【免責事項】
本記事は医療機関による情報提供を目的としており、個別の診断・治療を代行するものではありません。ご自身の症状については、必ず医師・医療機関にご相談ください。

📗 診断基準・ガイドライン
・American Psychiatric Association. (2013). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (5th ed.). DSM-5.

📗日本の制度・公的情報
厚生労働省
「発達障害の理解~メンタルヘルスに配慮すべき人への支援~」(PDF)
厚生労働科学研究費補助金 障害者政策総合研究事業「成人の発達障害に合併する精神及び身体症状・疾患に関する研究」(2019年)PDF
障害者雇用促進法における障害者の範囲、雇用義務の対象(PDF)

国立障害者リハビリテーションセンター
発達障害者支援センター一覧

埼玉県
埼玉県発達障害支援センターまほろば
 19歳以上の発達障害のある方、その
疑いのある方、そのご家族、発達障害者支援に関わる機関の支援者の相談
 (さいたま市に在住の方は「さいたま市発達障害者支援センター」)

📚 参考文献(一次情報・レビュー)
注意欠陥多動性障害(ADHD)または/および自閉症スペクトラム障害(ASD)を伴う新たに診断された成人における生涯同時発生する精神障害(2020)。

成人の発達障害に合併する精神及び身体症状・疾患に関する研究(※1)

よかったらシェアしてね
  • URLをコピーしました!

この記事の監修医

川口メンタルクリニック院長

心療内科医・精神科医・精神保健指定医。

日本精神神経学会専門医
日本精神神経学会 認知症診療医
日本医師会認定産業医
日本精神神経学会
日本認知症学会
老年精神医学会

地域のメンタルヘルス支援に携わる。

外来診療に加え、訪問診療にも注力し、通院が難しい方へのサポートも行っている。

詳しいプロフィールは院長紹介ページをご覧ください。

目次