PMSでイライラしてしまうのはなぜ?|生理前に怒りっぽくなる原因と対処法を精神科医が解説

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「なんでこんなことで怒ってしまうんだろう…」

「家族の何気ない一言にイライラしてしまう。」

「仕事では我慢できるのに、家に帰ると感情が爆発してしまう。」

「怒ったあとに『言い過ぎた…』と自己嫌悪になる。」

このような経験はありませんか。

生理前になると、自分でも驚くほどイライラしやすくなったり、

感情をコントロールできなくなったりする方は少なくありません。

普段なら気にならないことなのに、

生理前だけは家族やパートナーに強く当たってしまう。

そして、生理が始まる頃には、

「なんであんなことで怒っていたんだろう」

と落ち着きを取り戻す。

このようなパターンを毎月繰り返している方も多いのではないでしょうか。

しかし、中には

「自分の性格が悪いだけなのでは」

「母親なのに怒ってばかりいる」

「もっと我慢しなきゃ」

と、自分を責め続けている方もいます。

ですが、生理前のイライラは「性格」や「気合い」の問題ではなく、

PMS(月経前症候群)の症状として現れている可能性があります。

この記事では、PMSでイライラしやすくなる理由や、

自分でできる対処法、受診を考えた方がよいサインについて詳しく解説します。

目次

PMSとは?「イライラする病気」ではなく、心と体の変化が起こる時期

PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)とは、

生理が始まる3〜10日前頃から、

心や体にさまざまな不調が現れ、

生理が始まると自然に軽くなる状態をいいます。

症状には個人差がありますが、

  • イライラする
  • 怒りっぽくなる
  • 気分が落ち込む
  • 涙もろくなる
  • 不安が強くなる
  • 集中できない
  • 強い眠気がある
  • 頭痛
  • むくみ
  • 食欲が増える
  • 甘いものが無性に食べたくなる

など、心と体の両方に症状が現れます。

「生理前になると毎回同じような症状が出る」という点が大きな特徴です。

なぜ生理前になるとイライラするの?

「ホルモンの影響」と言われても、なかなか実感しにくいかもしれません。

実際には、生理前には女性ホルモンである

エストロゲンとプロゲステロンが大きく変化します。

この変化は、脳内で気分を安定させる働きを持つ

セロトニンなどの神経伝達物質にも影響すると考えられています。

その結果、

普段よりもストレスを感じやすくなったり、

感情のブレーキが効きにくくなったりすることがあります。

さらに、睡眠の質が低下する。

頭痛がある。体が重い。疲れが抜けない。

こうした身体的な不調も重なるため、心にも余裕がなくなりやすいのです。

つまり、「イライラしている」というよりも、

「心も体も限界に近い状態」になっていると

考えた方が分かりやすいかもしれません。

「怒りっぽい性格になった」のではなく、「余裕がなくなっている」

ここは多くの方に知ってほしいポイントです。

PMSの方からは、

「最近、性格が悪くなった気がします」

という言葉をよく聞きます。

しかし、実際には性格そのものが変わったわけではありません。

例えるなら、

普段は半分くらいまでしか入っていないコップに、

生理前は水がギリギリまで入っている状態です。

そこへ小さな刺激が加わるだけで、水があふれてしまいます。

例えば、

子どもがおもちゃを片付けない。

夫が靴下を脱ぎっぱなしにしている。

職場で「これお願い」と急に仕事を頼まれる。

普段なら「仕方ないか」と流せることでも、

生理前には心の余裕が少ないため、

感情が大きく動いてしまいます。

つまり、怒りっぽくなったのではなく、

ストレスを受け止める力が一時的に低下している状態とも言えるのです。

家族やパートナーとの関係が悪化しやすい理由

PMSで悩んでいる方からよく聞くのが、

「生理前になると家族にだけ強く当たってしまう。」

という言葉です。

職場では何とか我慢できるのに、

家に帰った途端、

夫やパートナー、子どもの

何気ない一言にイライラしてしまう。

「どうして片付けてくれないの?」
「何回言えば分かるの?」

普段なら気にならないような出来事でも、

生理前には感情が大きく揺れ動きます。

その結果、言い過ぎてしまったり、

声を荒げてしまったりすることがあります。

そして少し時間が経つと、

「また怒ってしまった。」

「本当はあんな言い方をしたかったわけじゃない。」

と後悔してしまう方もいらっしゃいます。

家族は一番長く一緒にいる存在だからこそ、

安心感から感情が出やすくなる面もあります。

そのため、

「家族だからこそイライラしてしまう」

ということは決して珍しいことではないです。

ただ、この状態を

「性格だから仕方がない」と放置してしまうと、

お互いに理由が分からないまま衝突を繰り返し、

夫婦関係や家族関係がぎくしゃくしてしまうことがあります。

「毎月この時期は気持ちが不安定になりやすい。」

ということを

あらかじめ家族に伝えておくだけでも、

お互いに少し余裕を持って過ごせることがあります。

子育て中はさらにイライラしやすくなることも

子育て中の方では、PMSによるイライラが

さらに強く感じられることがあります。

子どもは親の都合に合わせて動いてくれるわけではありません。

泣く。兄弟げんかをする。

何度言っても片付けない。

寝かしつけた直後に起きる。

こうした出来事は、子育てでは決して珍しくありません。

普段なら深呼吸をして対応できることでも、

生理前には気持ちに余裕がなくなり、

つい強い口調になってしまうことがあります。

実際に、

「子どもに怒鳴ってしまった。」

「泣いている子どもを見て、自分も泣いてしまった。」

という相談も少なくないです。

ここで知っておいてほしいのは、

「母親失格だから怒ってしまう」のではないということです。

睡眠不足や育児疲れに加えて、PMSが重なることで、

心のエネルギーがさらに消耗していることもあります。

子育ては一人で抱え込まず

パートナーや家族に協力をお願いしたり

行政や地域の支援サービスを利用したりすることも大切です

仕事でイライラしやすい理由

仕事中は、「感情を表に出せない」という方も多いでしょう。

だからこそ、

生理前はいつも以上に疲れやすくなることがあります。

例えば、

  • ちょっとしたミスを必要以上に気にしてしまう
  • 同僚の何気ない一言が気になってしまう
  • 集中力が続かない
  • 仕事が思うように進まず焦る

このようなことが重なると、

普段以上にストレスを感じやすくなります。

また、生理前は眠気や疲労感、頭痛、腹痛など

身体症状を伴うことも多く、

心だけでなく体も疲れています。

その状態でいつも通りの

パフォーマンスを求めれば、

心に余裕がなくなるのは自然なことです。

もし毎月同じ時期に仕事がつらくなるのであれば、

「大事な会議を別日にできないか」

「残業を減らせないか」

など、予定を調整できる部分がないかを

考えてみることも一つの方法です。

PMSとPMDDの違い

PMSと似た言葉にPMDD(月経前不快気分障害)があります。

どちらも生理前に症状が現れ、

生理が始まると軽くなるという特徴は共通しています。

違いは、精神症状の強さと日常生活への影響です。

PMSPMDD
イライラや気分の変化があるイライラや抑うつ、不安が非常に強い
日常生活は何とか送れることが多い仕事や学校、家庭生活に大きな支障が出る
身体症状も多い精神症状が中心になることが多い

例えば、

  • 毎月仕事を休まざるを得ない
  • 家族とのトラブルが絶えない
  • 「消えてしまいたい」と思うほど気分が落ち込む

このような場合には、PMDDの可能性も考えられます。

「生理前だから仕方ない」と我慢せず、

一度相談することをおすすめします。

PMSセルフチェックリスト

最近3か月くらい、毎月同じ時期に…

生理前になるとイライラしやすい

生理前になるとイライラしやすい

家族やパートナーに強く当たってしまう

気分が落ち込みやすくなる

不安が強くなる

涙もろくなる

集中力が落ちる

眠気や疲れが強くなる

甘いものが無性に食べたくなる

生理が始まると症状が軽くなる

仕事や家庭生活に影響が出ている

複数当てはまり、

それが毎月繰り返されている場合には、

PMSやPMDDが関係している可能性があります。

今日からできる対処法

PMSを完全になくすことは難しくても、

症状を和らげるためにできることはあります。

睡眠を優先する

睡眠不足はイライラをさらに悪化させます。

生理前は特に睡眠時間を確保し、

スマートフォンを見る時間を少し減らして、

できるだけ決まった時間に寝ることを意識しましょう。

軽い運動を取り入れる

ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、

気分転換になるだけでなく、

ストレス軽減にも役立つことがあります。

「運動しなければ」と頑張る必要はありません。

10〜20分程度歩くだけでも十分です。

食事を整える

カフェインやアルコールを摂り過ぎると、

不眠やイライラが悪化することがあります。

一方で、栄養バランスの整った食事を心がけることは、

体調を整えることにつながります。

予定を詰め込み過ぎない

毎月イライラしやすい時期が

分かっているのであれば、

その時期は重要な予定を少し減らしたり、

自分に余裕を持たせたりすることも大切です。

「頑張る日」と

「休む日」を分けるという考え方も役立ちます。

周囲に伝えておく

「生理前だから仕方ない」と

言い訳をする必要はありません。

ただ、

「今ちょっと気持ちが不安定になりやすい時期なんだ。」

と伝えておくだけでも、周囲の理解を得られることがあります。

婦人科?精神科?どちらを受診すればいい?

「相談するなら婦人科?それとも精神科?」

と迷う方も多いでしょう。

生理周期との関連がはっきりしている場合は、

まず婦人科へ相談する方も多く、

ホルモン療法や低用量ピルなどが選択肢になることがあります。

一方で、

  • 気分の落ち込みが強い
  • 不安が非常に強い
  • イライラで人間関係に大きな影響が出ている
  • うつ病や不安障害との区別が必要

といった場合には、

精神科や心療内科で相談することも大切です。

どちらが正しいというものではなく、

症状によっては婦人科と精神科が連携して治療を行うこともあります。

まとめ

PMSによるイライラは、

「気の持ちよう」や「性格」の問題ではありません。

ホルモンバランスの変化によって、

心と体の両方に影響が現れることで、

普段なら受け流せることにも

強く反応してしまうことがあります。

その結果、家族や

パートナーとの関係がぎくしゃくしたり、

仕事や子育てがいつも以上に

つらく感じられたりすることも少なくありません。

大切なのは、

「また怒ってしまった」と

自分を責め続けることではなく、

自分の不調が月経周期と関係していないかを知り、

症状に合わせた対処を考えることです。

毎月同じような症状を繰り返し、

日常生活や人間関係に支障が出ているのであれば、

「我慢するしかない」と考える必要はありません。

婦人科や精神科で相談し、

自分に合った治療やサポートを受けることで、

これまでより穏やかに過ごせるようになる方も少なくありません。

PMSは、一人で抱え込むものではありません。

まずは「毎月つらいのは自分だけではない」と知ることが、

改善への第一歩になるかもしれません。

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この記事の監修医

川口メンタルクリニック院長

心療内科医・精神科医・精神保健指定医。

日本精神神経学会専門医
日本精神神経学会 認知症診療医
日本医師会認定産業医
日本精神神経学会
日本認知症学会
老年精神医学会

地域のメンタルヘルス支援に携わる。

外来診療に加え、訪問診療にも注力し、通院が難しい方へのサポートも行っている。

詳しいプロフィールは院長紹介ページをご覧ください。

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