診断書に期間がない!空欄で会社に提出して大丈夫?全疑問を解消します。

「もらった診断書に期間が書いてない…」「これ、会社に出しても大丈夫?」そんな不安を抱える方へ。

精神科などの医療機関で休職診断書をもらったものの、治療期間や休職期間が空欄のままだと、このまま提出してよいのか悩む方は少なくありません。

本記事では、その場合に何が問題となるのか、どのように対応すれば良いかを、わかりやすく丁寧に解説していきます。

目次

診断書に休職期間が書かれていない場合、提出前に確認すべきこと

休職診断書を受け取ったものの、「いつからいつまで休むのか」の具体的な期間が書かれていない―特に精神科では、初診や経過観察中に期間の記載が省略されるケースもあります。

しかし、会社側が「具体的にどの期間、働けないのか」という情報を必要とする場合、診断書に期間が書かれていないと、後々の手続きで記入を求められることがあります。

診断書の「期間欄が空白」だと休職できない?

結論から言えば、「診断書に期間が明記されていないと、会社側が休職を正式に認めづらい」ケースは存在します。

多くの就業規則では、休職手続きにおいて医師の診断書を提出するよう定められており、その診断書に「休職が必要な期間」が明示されていなければ、労務側が判断に困る場合も出てきます。

とくに大企業や公務員制度では、明確な記載が求められがちです。一方で、中小企業などでは「口頭で補足説明すればOK」といった柔軟な対応をしてくれる場合もあるでしょう。

そもそも法律で診断書に休職期間が必須って決まってるの?

法律上、診断書に休職期間を必ず書かなければいけないというルールは存在しません。労働基準法では「診断書の提出」は義務ではなく、会社ごとの就業規則に従う形です。

ただし、会社が労務管理や傷病手当金の手続きのために「期間の明記」を求めるのはごく自然なこと。つまり、法律上の義務ではないけれど、実務上は“書いてあった方が安心”なのです。

医師が期間を書かない場合の理由と背景

診断書に期間が書いてない場合、以下のようなケースが考えられます。

・初診で病状の見通しが立たない
・症状の波が激しく期間を定めづらい
・通院しながら様子を見たい意図がある
・法律的に期間の記載が義務ではない

精神疾患の場合、身体疾患と異なり明確な治療期間の見通しを立てるのが難しいケースがほとんどです。特にうつ病や適応障害などは、症状の変動が大きく、患者によって回復速度にも大きな差があります。

そのため、

最初に設定される休職期間は、一般的に1〜3か月ほどが目安とされています。

体調や症状の経過を見て、まずは短めの期間で様子を見てから、必要に応じて延長するケースが多いです。

復職に際しては、ご自身の体調や治療の進み具合に応じ、医師と相談しながら無理のないスケジュールを検討していくことが重要です。

診断書に期間がない場合の対処法|再発行・追記の依頼方法と注意点

診断書に休職期間の記載がないまま提出し、会社から再提出や修正を求められることがあります。そんなとき、どのように対応すればいいのか——。

ここでは、主治医への相談方法から再発行にかかる時間、費用まで、実際に役立つ対処法をわかりやすく解説します。

期間の書いてない診断書は「無効」?

期間が空欄の診断書であっても、その診断書は無効ではありません。

ただし、実際の休職開始や労務処理の際には「期間が空欄=判断材料が不十分」とされ、再提出を求められるケースが多いのも事実です。

その場合は主治医に相談して追記あるいは再発行を依頼しましょう。

主治医に期間を追加してもらうときの伝え方

主治医に期間の記載を依頼する際は、次のように具体的かつ丁寧に伝えるとスムーズです。

会社から診断書の再提出を求められました。休職期間の記載が必要とのことで、〇月〇日から◇月◇日まででお願いできますか?

診断書の修正は無料で対応してもらえることもありますが、新たに発行する場合は費用がかかるケースが一般的です。事前に連絡して、依頼したい内容料金いつ受け取れるのかなどを確認しておくと安心です。

再発行にはどのくらい時間がかかる?

・診断書の再発行には、病院や医師の都合によって日数が変わります。早ければ当日中に発行される場合もありますが、通常は2〜5営業日ほどかかるのが一般的です。

医師が複数いるクリニックの場合は、原則として前回診断書を書いてくれた医師に依頼するとスムーズです。難しい場合は受付に相談を。

・対面以外で受け取りを希望する場合は、対応可能かどうか、郵送日数なども含めてさらに数日余裕を持って依頼すると安心です。

診断書の費用と支払い方法は?再発行の際も要チェック

診断書は健康保険の適用外となるため、基本的にすべて自費での負担となります。

・費用は医療機関によって異なりますが、一般的には3,000円〜10,000円程度で設定されていることが多いです。再発行でも同じ料金がかかるケースが多く、何度か繰り返すうちに意外と高額になることも。

・支払い方法は院内での現金・カード払いのほか、対応方法はクリニックごとに異なるため、あらかじめ受付などで確認しておくと安心です。

・また、診断書の発行前に再度の受診が必要な場合は、診察料が別途かかることもあるため、トータル費用を事前に見積もっておくことをおすすめします。

領収書の保管と活用方法も忘れずに

診断書の費用を支払った際の領収書は、後から必要になることがあります。会社によっては、福利厚生制度での補助や還付の対になるケースがあるため、なくさずに保管しておきましょう。

※なお、診断書料は治療に直接関係する費用ではないため、医療費控除の対象にはなりません

診断書を受け取ったら、次は会社への提出方法を確認しておきましょう。

診断書を会社に提出するベストなタイミングと方法とは?

上司に直接渡すべき?迷ったときの判断基準

診断書の提出先は会社によって異なります。人事部への提出が一般的な企業もあれば、直属の上司に手渡すルールの職場もあります。

ただ、メンタルの不調時に「上司に会うのがつらい」と感じるのは当然のこと。そんなときは、郵送PDFでの提出、あるいは家族や信頼できる同僚に代行してもらうといった方法も検討しましょう。

最近では、体調に配慮してくれる職場も増えているため、無理せず自身の状態に合った方法を選ぶことが大切です。

提出が遅れそうなときの対応

会社の就業規則によっては、診断書の提出期限が明確に定められている場合があります。特に休職開始日から数日以内に提出が求められるケースが多く、遅れると「無断欠勤」と判断されるリスクもあります。

やむを得ず遅れそうなときは、必ず事前に連絡しましょう。

「診断書の発行に時間がかかっている」「医師の都合で受け取りが遅れている」など、理由を伝えるだけでも対応が柔軟になることがあります。

診断書がないと休職できない?代替手段と交渉の工夫

「診断書がすぐに出ない」「医師が休職の判断を保留にしている」

そんな状況でも、休職が本当に必要なとき、手段はゼロではありません。診断書が手元にない状態で会社に事情を伝える場合、次のような対応が現実的です。

会社と交渉する際のコツと心構え

診断書がすぐに出せない事情がある場合でも、率直に相談することがトラブル回避のカギです。

「休むのは単なる欠勤ではなく、医師の指導に従って療養している」と伝えることで、会社側も理解しやすくなります。

不安がある場合は、医療機関の予約票や領収書を添えると、より納得してもらいやすくなります。誠実な対応が伝われば、診断書の提出を待ってもらえるケースは少なくありません。

傷病手当金や労災申請との関係:診断書はどこまで必要?

「休職中の生活費が不安…」という方にとって、傷病手当金や労災保険による休業補償は重要な支となります。では、これらの制度を利用するために、診断書はどの程度必要なのでしょうか。

結論から言うと、制度によっては診断書が不要な場合もあります。ただし、どの書類が必要かは申請先や会社の規定によって異なるため、正確な情報の確認が欠かせません。

労災(労働災害)と傷病手当金は、いずれも働けない期間の生活を支えるための制度ですが、適用される条件に違いがあります。

労災は、仕事中や通勤中に起きた病気やケガが対象、傷病手当金は、業務とは関係のない病気やケガを対象としています。

なお、同じ病気やケガについて両方の制度から給付を受けることはできません

傷病手当金の申請に必要な「医師記入欄」とは?

(上の写真は協会けんぽの書式です様式は所属の健保組合により異なります

全国健康保険協会(協会けんぽ)などで取り扱う「傷病手当金」の申請書には、医師が記入する専用の欄があります。この欄に治療内容や労務不能の状態が適切に記載されていれば、傷病手当の申請に際し診断書を別途提出する必要はありません

ただし、会社側が独自に診断書を求める場合もあるため、事前に人事や労務担当に確認しておくのが確実です。

労災の手続きで診断書が求められる場面とその代替策

労災保険を利用する場合には、所定の申請書類(例:療養補償給付たる療養の給付請求書)を使用し、医師がその書式内に署名・押印する形が基本です。この書類が適切に記入されていれば、診断書を別途添付する必要はないことが多いです。

特に、初診時に提出する「療養開始証明」が重視されるため、病名や休職期間の詳細よりも、労災様式に基づいた正確な証明が求められます。
労災(労働災害)と傷病手当金は、いずれも働けない期間の生活を支えるための制度ですが、適用される条件に違いがあります。

まとめ:診断書に「期間がない」ときも、焦らず対応を

診断書に休職期間が記載されていないと、不安になるのは当然です。ですが、そんなときこそ落ち着いて、状況に応じた対処をすることが大切です。

まずは主治医に相談し、必要であれば追記や再発行をお願いしましょう。診断書の再発行には時間や費用がかかることもあるため、早めの対応がおすすめです。

また、診断書が手元にない状態でも、会社と丁寧にやり取りを重ねることで、理解を得られるケースも多くあります。無理をせず、できる範囲で行動していくことが、スムーズな休職への第一歩です。

本記事が、あなたの不安を少しでも軽くし、安心して療養に向かえる手助けになれば幸いです。

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