不眠症には4つのタイプがある?原因と対処法とは
目まぐるしく毎日が過ぎていく現代社会において、年齢問わず不眠症で悩んでいる人は多いと言われています。また、熟睡した感じがなかったり、なかなか眠れなかったりなど、人によって不眠症のタイプは異なります。しかし、原因と対処法をしっかり知っておけば不眠症状から脱出することが可能です。
この記事では、不眠症のタイプや原因、対処法などについて詳しく解説します。
不眠症には4つのタイプが存在する
実は不眠症は、人によって症状が異なります。その症状は、以下の4つのタイプに分けることができます。しかし、4つのタイプが混合して現れる人もいるため、注意が必要です。
入眠障害
まず1つ目は、入眠障害です。入眠困難は、寝つきが悪い種類の不眠症です。不眠症と診断される人の中で、一番多いと言われているのがこの入眠障害です。入眠障害のポイントとしては、寝る体制になってから実際に寝付くまでの時間を、本人が苦痛に感じるかどうかも重要になってきます。
また、個人差はありますが寝付くまでの時間の目安として、30分以上かかる場合は入眠障害が疑われるケースが多いでしょう。
中途覚醒
2つ目は、中途覚醒です。中途覚醒はいったん寝付きますが、途中で起きてしまうタイプの不眠症を指します。しかし、不眠症ではない人でも、夜中にトイレに起きることもあるため、判断が難しいですよね。
中途覚醒のポイントとしては、眠りから起きてしまった後にすぐ寝付けるか、夜中に2回以上起きてしまうか、焦りや不安などのメンタル的な不調を感じるかという部分などで見ていくことになります。中途覚醒は、若い人よりも加齢によって増える症状でもあるため、全体的には高齢の方に多く見られると言えるでしょう。
早朝覚醒
3つ目は、早朝覚醒です。早朝覚醒は、まだ起きる予定の時刻ではないのに早く目が覚めてしまい、再び眠りに付くことができない点が特徴です。また、十分な睡眠がとれていないと本人も感じるタイプの不眠症です。
多くの場合は、起きる予定の時間よりも2時間近く早く起きてしまうことが続きます。
熟眠障害
そして4つ目は、熟眠障害です。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、簡単に言うと眠りが浅く熟睡できない状態の不眠症のことを言います。このタイプは、しっかり睡眠時間が確保できているにも関わらず、眠りの質が悪く疲れが取れなかったり、焦りや不安が強くなってしまったりという傾向があります。
不眠症の原因とは
不眠症には、さまざまな原因が絡み合っている場合がめずらしくありません。しかし、共通した主な原因は存在します。それらを、以下に紹介します。
1.環境的な原因
環境的な原因としては、温度や湿度、天候や騒音、寝具などがあり、それらが快適な睡眠の妨げになっているケースです。具体的な環境的な原因は人それぞれ異なりますが、特定の物事の影響が睡眠に必要な自律神経の切り替えに支障をきたし、交感神経と副交感神経の調節がうまく働かないことが原因と考えられています。
2.生活習慣による原因
私たちの体は朝日を浴びた瞬間に体内時計がリセットされ、交感神経が優位な状態になります。一方、入浴などによって副交感神経が優位な状態に切り替わると、自然と眠気が訪れます。
しかし、夜ふかしをする生活習慣が常習化していたり、湯船に入らずシャワーだけで済ませたりしていると、だんだん睡眠のためのスイッチが入らなくなり、不眠症へつながる可能性が高いです。
3.心理的な原因
心理的な原因は、不眠症と深く関連しています。例えば、仕事で大切なプレゼンの予定があると不安でたまらなくなり、眠りに影響する場合もあるでしょう。また、何らかのストレスによって精神的な負担が大きくなると、眠りに入りにくくこともめずらしくありません。
4.副作用や不耐性などの原因
薬の副作用や食べ物の不耐性の原因で多いのは、カフェインの摂取によるものです。カフェインは、覚醒作用がある成分なので、カフェインが入っている薬や飲み物を毎日飲む習慣がある場合は、この原因該当するケースがあります。
不眠症が疑われる際の対処法
では、不眠症の対処法には、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。不眠症に対する主な対処法としては、以下が挙げられます。
1.薬物療法やカウンセリング
不眠症の治療では、主に対処療法的に薬の処方が行われ、不眠による不快症状を抑えながら治療を行います。4つの種類に分けられる不眠症のタイプによって、作用時間の異なる睡眠導入剤や睡眠薬を使用し、薬との相性を見ながら「眠る」習慣を取り戻していきます。一度乱れてしまった睡眠のサイクルを薬によって正常な状態へ戻すことで、体をしっかり休め回復を促すのです。
また、不安感やうつ傾向が強い人に対しては、不安薬や抗うつ薬などを併用しながら症状の改善を目指します。必要な場合は、カウンセリングなども行い、不眠の原因となっているストレスを見つけることも効果的です。
2.生活習慣を整える
不眠症には、生活習慣を整えることも大切です。まずは、乱れてしまった就寝時間と起床時間を一定にして、朝起きたら太陽の光をしっかり浴びるようにします。太陽の光を浴びると、メラトニンの分泌が高まると言われています。メラトニンは人間の睡眠や体温などを調節する役割を担うホルモンです。そのため、決まった時間に太陽の光を浴びることで、体内時計が整っていくのです。
また、日中には適度な運動を取り入れ、体をある程度疲れさせるのも不眠症時の対応としては重要です。肉体的な疲労は、快適な睡眠を促す上で必要な要素となっており、体を動かすことで体内の血のめぐりも良くなります。
さらに、普段の生活の中でストレス要素となっている物事を可能な限りなくし、就寝時にはリラックスできる環境を整えるようにしましょう。このような対応を継続すると、乱れてしまった睡眠のサイクルが少しずつ戻ってくるでしょう。
世界的に見ても日本人は不眠傾向がある
ここまで、不眠症のタイプや原因などを詳しく見てみましたが、そもそも日本人は世界的に見ても不眠傾向が強いと言われています。
経済協力開発機構(CECD)が行った平均睡眠時間の調査によると、アメリカでは8時間48分、スペインでは8時間36分、中国では9時間2分などとなっている一方で、日本は7時間22分という結果が出ているのです。
この調査からも分かるように、日本人は世界的に見ても睡眠時間が短く、逆に労働時間が非常に長い傾向があるのです。そのため、不眠症は日本人特有の働き方にも関係しているとの指摘もあります。
まとめ
現在の日本では、年齢問わず不眠症で悩んでいる人が多いと言われており、世界的な調査でも日本人の不眠傾向が分かっています。しかし、不眠症には4つのタイプがあり、それぞれ症状の現れ方が違うので、タイプに合った対応を行うことが大切です。
一度不眠のサイクルにはまってしまうと、なかなか自分だけで治していくのは難しいものです。不眠で悩んでいる人は症状が悪化する前に、川口メンタルクリニックにどうぞお越しください。
参考URL
https://www.ssp.co.jp/drewell/advice/about.html