うつ病で働けない…そんなときに“本当に使える制度”をまとめて紹介します

うつ病になると、目に見えないところでたくさんの「困難」が重なります。
朝起きるのがつらい。
会社に行くと胸が苦しくなる。
頭が回らない、集中できない、ミスを連発してしまう。
「もう働けないかもしれない……」
そんな不安に押しつぶされそうになる方は少なくありません。
でも実は、
うつ病で働けないときに使える制度は、想像以上にたくさんある のをご存じでしょうか?
この記事では、患者さんやご家族が「今日から使える知識」になるよう、
難しい制度をできるだけわかりやすく、ブログらしい語り口で紹介します。
読み終えるころには、「私にもできることがある」「ひとりで抱え込まなくていいんだ」
そう思っていただけるはずです。
まず知ってほしいこと
うつ病で働けないとき、あなたを助けるための“公的な仕組み”がいくつも用意されています。
しかし、ほとんどの人は次のように考えています。
「制度が難しそうでよくわからない」
「自分が利用対象だなんて思わなかった」
「もっと早く知りたかった…」
実際、臨床の現場でもこの声はとても多いです。
だからこそ、制度を知ること=生活の安心に直結します。
ここから、ひとつずつ紹介します。
休職中のあなたを支える制度
休職制度(会社の中のルール)
会社には「社員を一定期間休ませて、復帰を支援する」仕組みがあります。
いわゆる “休職” です。
ただし、休職そのものには給料が出ないため、実質的な生活の支えは傷病手当金が担います。
傷病手当金
傷病手当金とは、会社員で健康保険に入っていれば、
働けない期間に“給与の約3分の2”が最長1年6ヶ月支給される制度です。
しかも診断名は関係ありません。うつ病、適応障害、パニック障害でも対象になり得ます。
「休んだら生活できない」という不安が大きく軽減される、非常に心強い支えです。

働けない期間が長くなるときの制度

「休んでみたけど、まだ働ける状態じゃない…」
こんなときに必要になるのが、長期的な支援です。
自立支援医療(精神通院医療)
精神科の通院費・薬代が 3割→1割 になります。
うつ病は長い治療が必要になることが多いので、ほぼすべての患者さんに恩恵がある制度です。

精神障害者保健福祉手帳
うつ病などの精神疾患が長く続き、生活や仕事に支障がある場合に取得できる手帳です。
- 税金の軽減(住民税・所得税・相続税などが軽くなることも)
- 公共料金の割引(地域による)
- 交通機関の割引(バス・電車・タクシー等、自治体差あり)
- 手帳枠での就労(障害者雇用)
- 福祉サービスの利用が進めやすくなる
などメリットがあります。

失業保険(雇用保険)
うつ病で退職した場合でも、条件を満たせば 失業給付 を受け取れることがあります。
病気で当面働けない場合は、「受給期間の延長」という救済措置もあります。

障害年金
“障害”と聞くと驚かれるかもしれませんが、うつ病などの精神疾患でも対象になり得る制度です。
要は、「病気のために働けない状態」に対して国が支給する補助金です。
専門家(社会保険労務士)に相談するとスムーズに申請できるケースがあります。

働きたい気持ちが少し戻ってきたら
リワーク(復職プログラム)
リワークとは、「元の職場に戻るためのリハビリ」 のようなもの。
- 集中力トレーニング
- ストレス対処の練習
- グループワーク
- 生活リズムの改善
など、復職に必要な力を段階的に戻していきます。

就労移行支援
「一度退職した。もう一度働きたいけど、自信がない」そんな人のための福祉サービスです。
- 仕事の練習(パソコン・軽作業など)
- 面接練習
- 企業実習
- 定着支援
など、就職〜職場定着まで寄り添うサポートが受けられます。
就労継続支援A型/B型
体調に合わせた働き方ができます。
- A型:雇用契約あり(時給が出る)
- B型:自分のペースで働ける(無理せず社会参加)

福祉サービスで生活を整える
生活そのものが回らなくなる ことがあります。
- 部屋を片付けられない
- 外出できない
- 人と会うのが怖い
- 家族が疲れ切っている
そんなとき役立つのが障害福祉サービスです。
- 居宅介護(ホームヘルプ)
- 移動支援(外出の同行)
- 行動援護(不安や混乱が起きやすい人の安全確保)
- 生活訓練(自立訓練)
- 日中活動の場(生活介護など)
- ショートステイ(短期入所)

実は使える“生活そのものを守る制度”
住宅確保給付金
失業などで家賃が払えないときに、一定期間、自治体が家賃相当額を補助 する制度です。
✅参照
・埼玉県川口市 住居確保給付金のご案内
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/soshiki/01070/020/2/31019.html
生活保護制度
「働けない」「収入がない」「貯金もない」
そんな状態で命と生活を守るための最終セーフティネットが生活保護です。
うつ病で働けないケースでは、思っている以上に対象になる場合が多いです。

税金や公共料金の減免
• 国民健康保険料の減免
• 住民税の軽減
• 電車・バスの割引(地域による)
• NHK受信料免除
など、案外知られていない“生活が楽になる制度”も多いです。
詳しくは各市町村の福祉窓口へご相談ください。
誰に相談するといい?相談先は?
✅病院の主治医や相談員
✅市区町村の福祉窓口
✅保健所・保健センター
✅ハローワーク
✅社会保険労務士(障害年金)
✅障害者相談支援センター(制度の組み合わせ相談)
など多くの相談窓口があります。
あなた一人で全部調べる必要はありません。
✅参照
・こころの情報サイト
まとめ
うつ病で働けなくなると、経済的な不安だけでなく、「社会から取り残されたような気持ち」になることもあります。
しかし、あなたの生活を支えるための制度はたくさんあります。
「使っていいんです。助けを借りていいんです。」
制度を使うことは 甘えではなく“治療の一部” です。
必要な支援を受けながら、少しずつ、あなたのペースで回復していきましょう。


