お薬とグレープフルーツの意外な関係
お薬を服用する際の注意書きに「グレープフルーツは避けてください」といった文言が書かれていたことはありませんか?なぜグレープフルーツを避けなければいけないのでしょうか?実は、グレープフルーツには、お薬の効果に悪影響を及ぼす可能性があるからです。
この記事では、グレープフルーツとお薬の関係について詳しく説明し、どのような注意が必要なのかを解説します。
グレープフルーツが薬に与える影響
グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン類」という成分が、肝臓で薬を分解する「CYP3A4酵素」の働きを抑える作用があります。
CYP3A4酵素は、薬物の代謝に重要な役割を果たしており、薬が体内で分解される速度を調整しています。グレープフルーツを摂取すると、この酵素の働きが抑制され、薬物が体内に長時間残り、血中濃度が高くなります。
この結果、薬の効果が過剰になり、副作用が現れる可能性があります。
さらに、グレープフルーツの影響は、薬が摂取されたあと数十時間から数日間ほど続くことがあり、薬を服用するタイミングに注意が必要となります。
影響を与える代表的な薬剤
グレープフルーツが影響を与える薬剤は、主に肝臓で代謝される薬物です。
以下のような薬剤が影響を受けやすいとされています。
スタチン類(コレステロールを下げる薬)
シンバスタチンやアトルバスタチンなどのスタチン系薬剤は、グレープフルーツの影響を受けることがあります。血中濃度が高くなると、筋肉痛や筋肉の破壊(横紋筋融解症)のリスクが増加します。
抗不整脈薬
アミオダロンは抗不整脈薬であり、グレープフルーツを摂取すると、薬の血中濃度が上昇し、重篤な副作用を引き起こすリスクがあります。
免疫抑制薬
シクロスポリンやタクロリムスなどの免疫抑制薬は、グレープフルーツの摂取により薬の効果が強くなりすぎ、感染症のリスクや副作用が増加する可能性があります。
精神科の薬(抗不安薬、抗うつ薬)
ベンゾジアゼピン系薬剤(例:ジアゼパム、アルプラゾラム)は、グレープフルーツと一緒に摂取すると、鎮静作用が過度に強くなることがあります。このため、眠気やふらつきが強くなることがあります。
まとめ
お薬とグレープフルーツの関係を理解することは、治療をより安全に行うために非常に大切となります。薬の種類によっては、グレープフルーツが薬の代謝に影響を与え、薬の血中濃度を変動させることがあります。これにより、薬の効果が強すぎたり、副作用が現れる可能性が高くなったります。したがって、薬を服用する際には、グレープフルーツやそのジュースを避けることが必要か確認することを心がけ、疑問点があれば医師や薬剤師に相談しましょう。
参照
独立行政法人医薬品医療機器総合機構
Q2 グレープフルーツジュースを避けるべきくすりがあるそうですが、どんなくすりですか。
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0017.html