障害者手帳で交通機関の運賃はどこまで安くなる?|第1種・第2種の違いと割引内容を解説

「障害者手帳があると交通費が安くなる」と聞いたことがあっても、

「何級ならどのくらい割引になるの?」

「第1種と第2種って何が違うの?」

と疑問に感じる方は多いのではないでしょうか。

実は、運賃割引は、障害者手帳の「等級(1級・2級)」そのものではなく、手帳に記載される『旅客運賃減額欄の第1種・第2種』によって大きく内容が変わります。

この記事では、障害者手帳と交通機関の割引の仕組みを、わかりやすく解説します。

公共交通機関ごとの割引内容や、割引の根拠となる公式リンクもまとめましたので、制度利用を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

目次

1. 障害者手帳で運賃が割引される理由とは?

身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などの「障害者手帳」を持っていると、多くの公共交通機関で運賃が割引されます。

この制度は、移動の負担を軽減し、社会参加を支援することを目的としています。

割引の対象となる交通機関は以下の通りです。

  • JR・私鉄・地下鉄・新交通システム
  • 路線バス・高速バス
  • 航空会社(国内線・国際線)
  • タクシー・福祉タクシー
  • 有料道路(高速道路・ETC登録車両)

ただし、割引内容は「障害の種別」「介助の必要性」「移動能力」などによって異なり、旅客運賃減額欄に記載された「第1種」か「第2種」かが決定的なポイントになります。

 2. 「第1種」と「第2種」はどうやって決まるの?

多くの方が誤解しているのが、「1級=第1種」「2級=第2種」といった単純な対応ではないという点です。
実際には、手帳交付時の審査で、「介助がどの程度必要か」「単独で移動できるか」といった生活上の支援ニーズを基準に自治体が判断します。

◆ 第1種になるケース(重度とされる場合)

  • 身体障害者手帳:1級・2級、または3級でも両上下肢など広範囲の障害がある場合
  • 視覚障害・肢体不自由などで常時介助が必要
  • 移動が単独では困難で、介助者の付き添いが前提になる場合

👉 特徴

  • 割引範囲が広く、本人だけでなく介助者1名も割引対象
  • 普通乗車券だけでなく、定期券・回数券などにも割引適用
  • 距離制限なしで利用できるケースが多い

◆ 第2種になるケース(中~軽度とされる場合)

  • 身体障害者手帳:3〜6級など比較的軽度で単独移動が可能
  • 療育手帳:「B」判定など軽度〜中度
  • 精神障害者保健福祉手帳:2級・3級など

👉 特徴

  • 割引対象が限定される(例:片道100km以上の普通乗車券のみ)
  • 介助者は割引対象外になることが多い
  • 定期券・急行券などは割引対象外の場合が多い

3. 第1種と第2種の割引内容を徹底比較(JRの場合)

日本の鉄道割引制度はJRの基準をもとに設計されていることが多く、まずはJR東日本の公式制度(JR東日本 障害者割引制度)を例に見てみましょう。

項目第1種第2種
普通乗車券50%割引(距離制限なし)50%割引(片道100km超のみ)
回数券50%割引原則なし
定期券50%割引原則なし
普通急行券50%割引原則なし
特急券・グリーン券割引対象外割引対象外
介護者の割引あり(1名まで)原則なし
距離制限なしあり(100km超)

✅ 公式参照:

4. 各交通機関別の割引概要

JRの割引基準に準じているケースが多い私鉄やバスの割引制度ですが、定期券の割引の有無や介助者割引の適用範囲については、各交通事業者の判断や、運行する地域の自治体による補助制度の有無によって細かく異なります。

ここでは一例を紹介します。

🚃 鉄道・地下鉄・私鉄

  • 第1種:50%割引、介助者も割引、定期券・回数券対応可
  • 第2種:片道100km以上で普通乗車券が50%割引

例)

🚌 バス

  • 第1種:本人と介助者が運賃半額になる例が多い
  • 第2種:本人のみ半額。地域によっては距離や路線制限あり

例)

✈️ 航空

  • 第1種:本人+介助者が割引対象(5〜20%程度の割引)
  • 第2種:本人のみ割引対象、介助者は対象外

例)

🚕 タクシー

  • 多くの自治体で、身体・療育・精神いずれかの手帳を提示すると1割引が基本。
  • 種別による差は少ないが、自治体の補助制度で第1種のみ割引対象になる場合もあります。

例)

5. 割引を受けるための注意点

手帳原本の提示が必要
コピーやスマホ画像は不可とされる交通機関が多く、乗車券購入時や改札時に手帳現物を提示します。

介助者割引は「同一区間」「同行時のみ」
第1種でも、介助者が単独で利用する場合は割引対象外です。

事前登録が必要なケースもある
航空・高速道路・一部自治体の制度は、事前申請や車両登録が条件です。

等級と種別は別物
1級でも第2種になることがあります。必ず手帳の「旅客運賃減額欄」を確認しましょう。

6. まとめ|「等級」ではなく「第1種/第2種」がカギ!

  • 障害者手帳による交通割引は、「1級」「2級」などの等級ではなく、旅客運賃減額欄に記載された「第1種」「第2種」によって決まります
  • 「第1種」は介助者も含めて割引範囲が広く、距離制限がない場合が多いのに対し、「第2種」は片道100km以上など条件付きになります。
  • 種別は「移動に介助が必要かどうか」という生活上の困難さをもとに自治体が判定します。

交通費の負担は、通院・通学・就労に大きな影響を与えるものです。
手帳を取得したら、必ず「旅客運賃減額欄」を確認し、対象となる割引を正しく活用しましょう。

✅ 公式リンクまとめ(再掲)

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