障害福祉サービスとは?生活のしづらさを抱えた人を支える「制度の全体像」をやさしく・深く解説

「障害福祉サービス」という言葉を、これまでに一度も聞いたことがない方は少なくありません。

精神科外来でも、

「初めて聞いた」

「名前は知っているけど、どんな制度かは知らない」

「自分には関係ないと思っていた」という声はとても多く、

むしろ“知っている人の方が少ない”と言ってもいいぐらいです。

ですが

実は、うつ病・発達障害・双極性障害・統合失調症・パニック障害など、

精神面の困りごとを抱える多くの方が利用できる制度でもあります。

生活がうまく回らないとき、

仕事・通院・外出に不安があるとき、

家族の負担が大きくなってきたとき。

そんな “生活の困りごと” を支えてくれるのが障害福祉サービスという仕組み です。

この記事では、「初めて名前を聞いた」という方にもわかるように、ゼロからやさしく、しかし内容はしっかりと深く説明します。

目次

そもそも障害福祉サービスとは?

障害福祉サービスとは一言でいうと、

✔ 日常生活や社会参加に困りごとがある人を支える「国と自治体の支援制度」です。

「障害」と聞くと、“重い障害のある人だけの話”と思われがちですが、

この制度のキーワードは “生活のしづらさ”

つまり、診断名の重さではなく、その人の生活がどれくらい困っているか が大事になります。

対象となる主な疾患・状態

  • うつ病
  • 双極性障害
  • 統合失調症
  • 不安障害、パニック障害
  • PTSD
  • 発達障害(ASD/ADHD)
  • 知的障害
  • 身体障害
  • 難病
  • その他、生活に著しい困りごとがある状態

ここで重要なのは、

✔ 診断名ではなく、生活しづらさの程度がポイント

という点です。

障害者手帳がなくても利用できる?

✔ 結論:手帳なしでも利用できます

多くの方が誤解しやすいですが、
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳など)がなくても利用できるサービス はたくさんあります。

市区町村は、「この人は生活上の支援が必要か?」という観点で判断します。

その際に必要になるのが、医師の意見書(診断書のようなもの) です。

手帳があると便利な点

  • 手続きがスムーズになることもある
  • 就労支援サービスや通所系サービスが使いやすくなることがある
  • 税金・公共料金などの減免が受けられる

手帳なしでも対象になる生活上の困りごと

  • 家事が回らない
  • 人混みが怖くて外出できない
  • 電車に乗るとパニックになる
  • 仕事が続かない
  • 朝起きられず生活リズムが乱れる
  • コミュニケーションが苦手で働くのが怖い
  • 通院が自分一人では難しい

どのようなサービスがある?

障害福祉サービスは、大まかに 5つの分野 に分けられます。

① 生活サポート(家事・外出・身の回り)

✅ 居宅介護(ホームヘルプ)
  • 掃除・洗濯・料理
  • 買い物代行
  • 通院や外出の付き添い
  • 見守りや必要な声かけ

→ 生活を整える“実質的な支援”

✅ 行動援護
  • 外出先で不安・混乱が起きやすい方のサポート
  • 危険への配慮や安全確保

→ 発達障害・知的障害の方の利用が多い

✅ 移動支援
  • 病院・買い物・散歩・イベント等への同行
  • 一人での外出が怖い方に

→ パニック障害や社会不安の方にも役立つ

② 日中の過ごし方を整えるサービス

✅ 生活介護
  • 施設での軽作業や創作活動
  • 日中の居場所づくり
  • 人との交流や生活リズムの安定

③ 就労支援(働きたい人向け)

✅ 就労継続支援A型
  • 雇用契約を結んで働く(時給あり)
  • 働きたいけれど一般就労は不安な方向け
✅ 就労継続支援B型
  • 自分のペースで働ける(雇用契約なし)
  • 疾患で働く負荷が大きい方の「社会参加の第一歩」

④ 自立のためのトレーニング

✅ 自立訓練(生活訓練)
  • 食事、金銭管理、掃除などの生活スキル
  • コミュニケーションの練習
  • 生活リズムの立て直し

→ 一人暮らしをしたい方にも

⑤ 家族の負担を軽くするサービス

✅ 短期入所(ショートステイ)
  • 数日〜数週間、施設で生活
  • 家族の休息・介護負担の軽減

→ 家族ケアとしても非常に重要

利用料金について

✔ 基本は1割負担

ただし、多くの家庭では 月の上限額が定められています。

区分世帯収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得住民税非課税世帯0円
一般1住民税課税世帯 (所得割16万円未満)9,300円
一般2上記以外37,200円

経済的負担は非常に少なくなるよう調整されています。

※料金の詳しい内容は各自治体窓口にご相談ください

利用までの流れ

STEP
各役所の障害福祉窓口へ相談および申請
STEP
「サービス等利用計画案」の作成依頼
STEP
認定調査
STEP
障害支援区分の決定
STEP
サービス等利用計画案の提出
STEP
サービスの支給決定
STEP
サービス担当者会議の開催
STEP
福祉サービスの利用開始

まとめ

障害福祉サービスは、“特別な人が使う制度” ではなく、

✔ 「生活がしんどいと感じている人が、少しラクになるための支援」です。

生活が整うと、心の安定・体調の改善・社会参加の自信にもつながります。

あなたの困りごとは、あなた一人が頑張って解決する必要はありません。

支援制度を上手に使いながら、無理なく、安心して暮らしていきましょう。

✅ 参考リンク(公式情報)

この情報が、必要な方に届きますように。
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