退職後も傷病手当金はもらうことができるのか?
以前の記事で、傷病手当金について説明をしました。傷病手当金は休職をする際の大きな支えとなります。しかし傷病手当金は、休職中だけでなく、条件を満たせば退職後も支給されることがあります。傷病手当金が支給されることで、退職後の生活に不安を抱えている方々にとって、大きな経済的サポートとなり、精神面での大きなサポートにもなります。
この記事では、「退職後も傷病手当金をもらうことができるのか?」について詳しく解説します。
※前回の傷病手当金の説明記事はこちらです。
退職後も傷病手当金が支給される条件
退職後も傷病手当金を支給されるにはいくつかの条件があります。
①退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あること
被保険者期間とは、健康保険に加入していた期間のことをいいます。
②退職日の前日までに連続して3日以上出勤せず、退職日も出勤していないこと
例えば、退職日が10月20日の場合、3日前の17日から1日でも出勤していると、傷病手当金をもらうことができません。また、退職日に出勤していた場合も傷病手当金をもらうことができなくなります。
引継ぎや挨拶まわり、片付けなどを行い、出勤していたとみなされる場合は、傷病手当金をもらうことができないので注意が必要です。
退職日に傷病手当金を受給していた傷病で引き続き労務不能であること
例えば、今まで「うつ病」の傷病で医師から労務不能とされ休職していた場合、同じ「うつ病」もしくは「うつ病」に関連する傷病として労務不能と申請しなければ傷病手当金をもらうことはできません。
全く関係のない傷病で申請する場合は、傷病手当金をもらうことができないので注意が必要です。
支給される期間
休職期間中の傷病手当金の支給期間は「1年6ヵ月間」でした。
では、退職後の傷病手当金の支給期間はどのぐらいでしょうか?
答えは、「退職する前の支給期間と通算した1年6か月間」となります。
例えば、退職する前の休職期間に1か月間傷病手当金が支給されていた場合、残りの1年5か月の期間が、傷病手当金の支給期間となります。
失業手当との併用について
雇用保険の失業手当と傷病手当金を同時にもらうことはできるのでしょうか?
答えは、ノーです。
失業手当は、就労をすることを前提とした手当なので、労務不能であることが前提の傷病手当金を併せてもらうことはできないので注意が必要です。
申請方法について
休職期間中の傷病手当金の申請は、会社とやり取りをする場面がありました。
しかし、退職後も傷病手当金を申請するにあたって、退職した会社とやり取りをしなければならないのでしょうか?
答えは、ノーです。退職した会社とやり取りをする必要はありません。
加入していた健康保険組合とのやり取りが主となります。
以下、退職後の傷病手当金の申請方法についてまとめています。
①傷病手当金の申請書を用意する
加入していた健康保険組合の傷病手当金の申請書を用意します。
②申請書のうち、本人が記載する部分(被保険者記入欄)を記載する
③申請書のうち、主治医に記載が必要な部分の記載を依頼する
④本人と主治医が記載をしたら、加入していた健康保険組合に申請する
まとめ
退職後の傷病手当金は、病気やケガによって働けなくなったときに、生活を支える重要な制度です。しかし、意外と退職後も継続して傷病手当金をもらえることを知らない人が多いと思います。退職前にしっかりと手続きや必要な書類を確認し、適切なタイミングで申請を行うことが大切です。また、傷病手当金の支給条件や金額についても理解を深めておくことで、安心して療養に専念できる環境を整えることができます
参考URL
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307
https://kokoro.mhlw.go.jp/mental-health-qa/mh-qa008
YouTubeでの解説動画も併せてご覧ください。