社交不安障害の治し方はある?症状と原因、2つの治療法を解説

社交不安障害は、日常生活の中で自分が注目されるような場面に遭遇すると極度の緊張状態になり、強い不安感が襲ってくる疾患です。どのような場面でも、人からの注目を感じれば症状が出やすいため、普通の日常生活が送れず悩んでいる人も多くいます。

この記事では、社交不安障害の症状や原因・治療方法などについて詳しく解説します。

目次

社交不安障害の症状

社交不安障害の症状としては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 動悸がする、息苦しい
  • めまいや吐き気
  • 手足の震えや声の震え
  • 腹痛や下痢
  • 口のかわきや大量の汗
  • 顔が赤くなる、ほてり、のぼせ
  • 電話に出られない、トイレが近くなる、学校や仕事を休みがちになる
  • 人の目が見られない、目立つ場面を避ける など

社交不安障害は、比較的若い10代半ば〜20代前半で発症することが多いのが特徴です。そのため、自分の中の違和感に気づいていても、親に相談できなかったり、恥ずかしいという思いから治療を行う段階までつなげるのに、ある程度の時間が経過してしまったりするケースが多いと言われています。

社交不安障害の主な原因

社交不安障害の原因に関しては、現在でもさまざまな研究が行われていますが、絶対的な原因はまだ特定できていません。しかし、以下に挙げるような原因が発症につながっているのではないかという考え方が強まっています。

1.遺伝性や家庭環境によるもの

同じ家庭内で社交不安障害の症状が同じように現れるケースがあることから、遺伝性や家庭環境による要因も指摘されています。しかし、必ずしも同じ家庭内で社交不安障害の症状が出ているかと言うとそうではないため、まだはっきりとは断定されていません。

2.脳の構造的な変化によるもの

社交不安障害の症状の中でも、特に恐怖心に強い影響を与える脳の偏桃体という部分に構造的な変化があると、症状が出やすいことが分かっています。

3.神経伝達物質のバランスが崩れるによるもの

私たちの感情は、約140億個ある神経細胞の中の神経伝達物質のバランスをコントロールすることで、保たれています。しかし、社交不安障害の症状が強く出るときは、この神経伝達物質のバランスが崩れて、制御が効かない状態になると考えられています。

社交不安障害の治療方法

では、社交不安障害の治療方法にはどのようなものがあるのでしょうか。社交不安障害の治療は、主に「薬物療法」と「心理療法」によって行われます。

1.薬物療法

薬物療法では、社交不安障害の代表的な症状である「不安感」や「緊張感」、「恐怖感」に対して、抗不安薬や抗うつ薬などを用いて治療が行われます。中でも、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と呼ばれるSSRIという薬は、安心感に繋がる脳内のセロトニンを増やす作用があり、服用を始めてから2〜4週間ほどで効果の実感が期待できるでしょう。

また、即効性のあるベンゾジアゼピン系抗不安薬は、日常生活に支障が出ていてすぐに不安や緊張感を和らげる必要がある時に用いられます。

さらに、極度の緊張感によって動悸や手足の震えが生じ、行動に支障が出るほど悩んでいる場合は、神経の興奮を抑えるβブロッカーを用いることもあります。βブロッカーは、もともと高血圧症の治療に用いられる薬ですが、震えにも効果があり、苦手な場面が避けられない際にも使用されます。

緊張すると大量の汗が出て止まらないという場合は、汗を抑える作用のある抗コリン剤などを用いて対処していきます。

2.心理療法

心理療法では、主に医師や臨床心理士による認知行動療法によって治療が行われます。認知行動療法とは、本人の認知の歪みを修正し、物事の捉え方や考え方・向き合い方などを医師や臨床心理士と一緒に見つめ直していきます。

認知行動療法を続けると、今まで苦手だった場面でも柔軟な考え方が出できるようになり、固定概念を修正することで今まで出てこなかった対処方法が見つかる場合もあるでしょう。

本人の内面にアプローチすることで、社交不安障害による強い不安感や緊張感を克服していくのです。

※当クリニックでは疾患や患者様の症状に合わせてカウンセリングを行っております。認知行動療法は必要に応じて行っております。

社交不安障害のチェック方法

次に、どの程度社交不安障害の可能性が高いのかを、セルフチェックできる方法を紹介します。下記に該当する項目が多ければ多いほど、社交不安障害の可能性が高いと言えます。

  • 人とどう接したら良いのか分からない、コミュニケーションの取り方が分からないことによって孤立しがちである
  • 大勢の前で話をしなければならない時に、頭が真っ白になったり声が出なくなったり、震えてしまったりして強いプレッシャーを感じることがある
  • 人前に立った時に、顔が赤くなり人前に立つことを避けようとする
  • 電話に出ようとすると、他の人に聞かれていると感じて緊張する。また、電話に出ようとすると声が出ない
  • 人前で食事をするのに極端な恐怖心があり、怖くて相手と会えない
  • 他人に見られている、自分のうわさをされていると感じることで相手を嫌な気分にさせてしまう場合がある
  • 人前で文字を書こうとすると、手が震えてしまう
  • 手元に注目されると手が震えて、緊張感が強くなってしまう
  • 人と接していると、あまりの緊張で大量の汗をかく
  • 大勢人がいる前で、お腹が鳴るのではという恐怖心が強い
  • 自分の体からにおいが出ていて、人に迷惑をかけているのではと思うと行動できない など

社交不安障害は早期治療で治癒が期待できる

社交不安障害は、突然生活に支障が出るほどの強い症状が現れるわけではなく、最初は頑張ればなんとか耐えられるレベルでの発症がほとんどです。しかし、平均発症年齢が若いということもあり、違和感を持ちながらもそのまま放置してしまう人が多いのが現状です。そして、長年放置した結果、どうにも耐えられなくなって治療を開始するケースが多いと言われています。

社交不安障害は、早期に原因となっている要素を特定し適切な治療を行うと、80%程度の確率で治癒する疾患ともされています。そのため、日常生活の中で、他の人とは明らかに違う不安感や緊張感などを感じ、それが苦痛だと感じる場合は川口メンタルクリニックにどうぞお越しください。

まとめ

今回は、10代〜20代の若い人を中心に発症する社交不安障害について、症状や原因・治療方法などについて詳しく解説しました。社交不安障害は、人の視線が集まり注目される場面に直面すると、極度の緊張状態になります。また、症状が強く出るようになると、それを回避しようとする行動が目立ってきます。

最初のうちは、我慢すれば大丈夫だと感じていても、放置すればだんだんと社会生活に支障をきたしてくるので、できるだけ早く適切な治療をすることをおすすめします。

参考URL

https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/social_anxiety_disorder

https://www.tawara-clinic.com/disease/social-anxiety-disorder

https://www.chiba-ekimae.com/check6.html

社交不安障害(SAD)の治療 | おりたメンタルクリニック (orita-mental.com)


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