大人のADHD・ASDが疲れやすい理由|仕事や人間関係で消耗する背景

「人より疲れやすい気がする」
「仕事や外出のあと、どっと消耗する」
「何もしていないのに、もう限界…」
ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)の特性がある人から、
こうした声はとても多く聞かれます。
一方で、周囲からは
「気にしすぎでは?」「体力がないだけでは?」
と言われてしまい、自分を責めてしまう方も少なくありません。
ですが結論から言うと、
ADHD・ASDの人が疲れやすいのは、努力不足でも甘えでもありません。
脳の働き方や情報処理の特性によって、“疲れが溜まりやすい構造”になっていることが多いのです。
この記事では、その理由をわかりやすく解説し、
「なぜ疲れるのか」「どう対処すればいいのか」を整理していきます。


ADHD・ASDの「疲れやすさ」はどんな疲れ?
まず大切なのは、
ADHD・ASDの人が感じる疲れは、単なる肉体疲労ではないという点です。
多くの場合、
- 強い精神的疲労
- 脳の使いすぎによる消耗
- 人と関わることによるエネルギー切れ
といった “見えない疲れ” が中心になります。
そのため、
- 寝ても回復しにくい
- 休んでいるはずなのにしんどい
- 説明しづらい疲労感が続く
と感じやすくなります。
ADHDの人が疲れやすい本当の理由
常に注意を「切り替え続けている」
ADHDの特性として、注意のコントロールが難しいことがあります。
- 気が散りやすい
- いろいろな情報が同時に入ってくる
- 集中し直すのにエネルギーが必要
この「注意の切り替え」を1日中繰り返すことで、
脳がフル稼働し続け、強い疲労が溜まります。
本人は一生懸命やっているのに、
周囲からは「落ち着きがない」「集中していない」と見えてしまうこともあります。
失敗やミスへの自己修正が多い
ADHDの人は、
忘れ物、ケアレスミス、時間管理のズレなどが起こりやすく、
そのたびに
「気をつけなきゃ」
「次は失敗しないように」
と、常に自分を修正し続ける状態になります。
この“頭の中のブレーキ”が、見えない疲れを蓄積させます。
感情の振れ幅が大きく、消耗しやすい
ADHDでは、感情が一気に高ぶったり落ち込んだりしやすい傾向があります。
- 怒りやすい
- 落ち込みやすい
- テンションが急に下がる
感情の上下動が激しいほど、心のエネルギーは消耗します。
ASDの人が疲れやすい本当の理由
無意識に「人に合わせ続けている」
ASDの人は、
- 空気を読む
- 相手の意図を推測する
- 場の雰囲気を外さない
といったことを、意識的・努力的に行っている場合があります。
これを「カモフラージュ(マスキング)」と呼ぶこともあり、
外からは普通に見えても、内側では非常に消耗しています。
感覚刺激による疲労が蓄積する
ASDでは、感覚の過敏さ・鈍さが見られることがあります。
- 音がうるさい
- 光がまぶしい
- 人混みがつらい
- 服の感触が気になる
こうした刺激を処理するだけで、エネルギーを大量に使います。
本人が「理由は分からないけど疲れる」と感じる背景に、感覚疲労が隠れていることも多いです。
予定変更・曖昧さが大きな負担になる
ASDの人にとって、
- 突然の変更
- 曖昧な指示
- 先が見えない状況
は強いストレスになります。
常に緊張状態が続くことで、
“何もしていなくても疲れている”状態になりやすくなります。
「ちゃんと休んでいるのに疲れる」理由
ADHD・ASDの人は、
休み方が“回復につながっていない”ことも少なくありません。
たとえば、
- 休みの日も頭の中で反省会をしている
- 刺激の多い場所で「気分転換」して逆に消耗している
- 何もしないことに罪悪感を感じている
この状態では、体は休んでも脳と心が休まらないため、疲れが抜けません。
疲れやすさが続くと、二次的な不調につながることも
慢性的な疲労が続くと、
- うつ状態
- 不安障害
- 適応障害
- 不眠
といった 二次的な精神的不調が現れることがあります。
「自分は発達障害だから仕方ない」と我慢を続けるのではなく、
疲れやすさ自体がケアの対象になることが大切です。

今日からできる、疲れやすさへの対処の考え方
「疲れる前に休む」を前提にする
限界まで頑張る前に、
- 予定に休憩を組み込む
- 人と会う日は翌日を軽めにする
など、疲れる前提で生活を設計することが重要です。
刺激を減らす工夫をする
- イヤホン・耳栓
- サングラス
- 静かな場所を選ぶ
感覚刺激を減らすだけで、驚くほど楽になる人もいます。
「頑張り方」を見直す
- 完璧を目指さない
- 7割でOKにする
- できない日は“回復日”と考える
疲れやすい人ほど、頑張りすぎていることが多いです。
疲れやすさで生活が回らないときは、医療のサポートも選択肢
- 疲れで外出がつらい
- 仕事や家事が維持できない
- 休んでも回復しない
こうした状態が続く場合、精神科・心療内科での相談が役立つことがあります。
外出が難しい方には、精神科の訪問診療という選択肢もあります。
自宅で相談しながら、生活の整え方や治療を一緒に考えることができます。
まとめ|ADHD・ASDの疲れやすさは「特性による消耗」
ADHD・ASDの人が疲れやすいのは、
脳や感覚の使い方が人より多くのエネルギーを必要とするためです。
それは決して「弱さ」ではなく、構造の違いです。
疲れやすさに気づき、無理のないペースや環境を整えることが、回復と安定につながります。
✅参考
・大人の発達障害ナビ:ADHDとASD 特性の違いや共通点、併存の可能性

