双極性障害は分かりにくい?症状と診断、効果的な治療法とは

双極性障害は、気分が高揚する躁状態と激しく落ち込むうつ状態を繰り返す精神疾患です。日本では、500人に1人ぐらいの割合で患者さんがいると言われています。めずらしい疾患ではないですが、まだ研究段階な部分が多く、分かりにくい病気でもあるのです。

この記事では、双極性障害の症状や診断、効果的な治療方法について詳しく解説します。

目次

双極性障害の症状

双極性障害には、「双極性障害Ⅰ型」と「双極性障害Ⅱ型」があります。双極性障害Ⅰ型は、躁状態とうつ状態が交互に現れ、双極性障害Ⅱ型はやや軽い躁状態とうつ状態が交互に生じます。

1.躁状態

躁状態のときに現れる主な症状としては、以下のとおりです。

  • 自信に満ち溢れている
  • 眠くならない、徹夜してもエネルギー切れがない
  • おしゃべりになる、行動的になる
  • アイデアが次々に浮かんでくる
  • 注意力が散漫になる
  • 高額な買い物が多くなる
  • 突発的で衝動的で危険な行動をする など

2.うつ状態

一方で、うつ状態のときは、無気力や何事にも興味が湧かない、死にたくなる、疲れやすい、何をやっても楽しめない、眠れない、落ち込むなどの症状が生じます。

双極性障害の原因

双極性障害が発症するメカニズムは、まだ研究段階の部分が多く、はっきりとは解明されていません。しかし、脳の中の神経伝達物質であるシナプスや神経細胞の興奮性を調節するイオンチャンネルに関連する遺伝子の繋がりに、何らかの原因があると考えられています。

この神経伝達物質の調節に異常があると、気分をコントロールすることが難しくなり、双極性障害の症状が出やすくなると言われています。そのため、双極性障害は、気持ちの持ちようが原因というわけではなく、脳の中の神経細胞の変調によって影響が出ているのです。

その他の原因としては、養育環境や社会生活でのストレスによるもの、生活リズムが乱れたことによる発症などが考えられます。幼少期に親が離婚したり亡くなったりした経験があると、双極性障害の発症率が上がる傾向があり、ストレスに対する弱さも発症につながる要因として挙げられます。また、感情を素直に出せない養育環境で育つと、感情のコントロールが乱れ双極性障害の症状が出やすくなるとされているのです。

双極性障害の診断方法

双極性障害を診断する基準としては、以下のチェック項目にどの程度当てはまるかで判断します。

  • 気分が持続的に異常に高揚し、開放的な状態が1週間または毎日続く
  • 亢進した活動や活力がある状態が1週間または毎日続く
  • 以下のうち少なくとも4つの特徴が当てはまる
    1. 自尊心の肥大
    2. 睡眠欲求の減少
    3. 普通よりもしゃべり続けようとする
    4. いくつもの考えが湧いてくる
    5. 注意散漫
    6. 目標志向性の活動や精神運動焦燥
    7. 悪い結果に繋がる活動に夢中になる
  • 社会的、職業的機能に著しい障害を引き起こしている
  • 何らかの物質によるものではない
  • 症状はない時と異なり、明らかに機能的変化がある
  • 変化が他者から観察できる
  • 社会的、職業的に著しい障害を引き起こしたり、入院を必要とするほどではない
  • 以下のうち5つが2週間の間に認められ、そのうち少なくともひとつは1か2であること
    1. 抑うつ気分がある
    2. 興味や喜びの喪失
    3. 体重の増減、食欲の異常
    4. 睡眠障害
    5. 精神運動焦燥、精神運動制止
    6. 疲労感、気力低下
    7. 無価値観
    8. 思考力低下、集中力低下
    9. 希死念慮
  • 苦痛が明らかか、社会的、職業的な機能障害を認める

上記のようなチェック基準と共に、細かい身体的な疾患や症状の経過、服用している薬や飲酒状況などを問診していき、総合的な観点から双極性障害の診断が行われます。また、身体疾患による症状と識別するために、血液検査や脳の画像検査も併せて行われる場合もあります。

双極性障害は分かりにくい

双極性障害は、うつ状態のときはうつ病と同じような症状が中心に現れるため、うつ病との見分けが難しいと言われています。ちょっとした落ち込みならば、誰にでもあると考え、病院に行ったとしても医師に症状として伝えなかったり、双極性障害自体を知らなかったため発見が遅れたりするケースもあります。

また、躁状態とうつ状態の症状の現れ方は人によって異なり、発症したときの症状の出方も人によって異なります。そのため、たまたま落ち込みが非常に強いうつ状態のときに病院へ行くと、真っ先にうつ病が疑われてしまい、双極性障害に対する効果的な治療を行うことができなくなってしまうのです。

実際に、最初はうつ病と診断されたにも関わらず、最終的に双極性障害と診断が変わった患者さんは約20%いるとされています。

双極性障害の効果的な治療法

次に、双極性障害の効果的な治療方法を紹介していきましょう。双極性障害の治療では、主に「薬物療法」と「心理療法」が行われます。

1.薬物療法

薬物療法では、気分安定薬と抗精神病薬を中心に用いて治療が行われます。気分安定薬は、双極性障害の特徴でもある躁状態とうつ状態の波を小さくして、平均的な感情が維持できるようにします。抗精神病薬は、継続的に服用することで躁状態とうつ状態を徐々に改善へと導き、再発を防止するために使用します。

2.心理療法

心理療法では、主に「認知行動療法」や「対人関係・社会リズム療法」、「家族療法」などが行われます。認知行動療法とは、物事の捉え方や受け止め方に歪みが生じることで物事を否定的に見てしまい、自分を必要以上に責める傾向がある人に対して、認知の歪みを修正し肯定的に捉えられるようにします。その結果、双極性障害の症状が緩和するのです。

※当クリニックでは疾患や患者様の症状に合わせてカウンセリングを行っております。認知行動療法は必要に応じて行っております。

対人関係・社会リズム療法とは、社会的に避けられない対人関係によるストレスで双極性障害の症状が強く出ている場合に、ストレスを軽減させるための対人関係術を習得し、症状の改善を図るものです。また、生活リズムが乱れたことによる症状の悪化は、規則正しい生活を再確認し、周囲の人達と良好な人間関係を築きながら過ごせるように促す目的で行われます。

最後に、家族療法とは双極性障害の治療に欠かせない家族の理解を深め、患者さんと家族が共に協力しながら治療に向き合えるようにサポートするものです。特に、一番身近にいる家族は、躁状態とうつ状態を行ったり来たりする患者さんと向き合う中で、ネガティブな感情を抱きがちです。そのため、間に医師や臨床心理士が入り、両者が良好な関係を保ったまま治療に向き合えるようにサポートします。

まとめ

双極性障害は、まわりから見ても明らかに普段と違うハイになる躁状態と、うつ病のように気分がふさぎ落ち込み、何もやる気が起きないうつ状態が交互に現れ、再発率が高い疾患でもあります。

中途半端に治療していると、だんだんと再発までの期間や症状が落ち着く期間が短くなります。そのため、双極性障害が疑われる症状が現れたら、川口メンタルクリニックにどうぞお越しください。

参考URL

https://www.smilenavigator.jp/soukyoku/about/06.html

https://cocoromi-mental.jp/cocoromi-ms/psychiatry-disease/bipolar/about-bipolar

https://kokoro-share.jp/bp/symptoms/index.html

https://medicalnote.jp/diseases/%E5%8F%8C%E6%A5%B5%E6%80%A7%E9%9A%9C%E5%AE%B3?utm_campaign=%E5%8F%8C%E6%A5%B5%E6%80%A7%E9%9A%9C%E5%AE%B3&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo

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