不安を解消する認知症検査ガイド 診断の流れを徹底解説

近年、高齢化が進む中で「認知症」という言葉を耳にする機会が増えてきました。しかし、「もしかして認知症かも?」と不安になったとき、どのような検査を受ければよいのか、どんな流れで診断されるのかを知らない方も多いのではないでしょうか。今回の記事では、認知症の検査についてわかりやすく解説します。不安を感じているご本人やご家族が、少しでも安心して適切なサポートを受けられるようお役立てください。
そもそも認知症とは?
認知症とは、記憶力、思考力、判断力、言語能力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。加齢によるもの忘れと異なり、症状が徐々に進行し、生活の質に大きな影響を与えることが特徴です。
主な認知症の種類には以下のものがあります。
アルツハイマー型認知症
最も一般的なタイプで、記憶障害が中心。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血による血流障害が原因。
レビー小体型認知症
幻視や運動障害を伴うことが多い。
前頭側頭型認知症
行動や人格の変化が目立つ。
YouTube にて認知症の種類を解説しています!
認知症検査の流れ
認知症の診断は、単一の検査だけで決定されるわけではなく、複数の検査や評価を組み合わせて行います。
①問診と医療歴の確認
最初は、本人および家族からの詳しい聞き取りを行います。
主に以下のことを深く確認します。
・いつ頃から症状が現れたか
・どのような場面で困ることがあるか
・家族歴や既往歴、服用している薬など
②認知機能検査(スクリーニングテスト)
認知機能の低下を客観的に評価するための簡単な検査を行います。
認知機能検査には様々な種類がありますが、本記事では主に4つ紹介します。
MMSE(ミニメンタルステート検査)
記憶、注意、計算、言語能力などを評価します。
長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
日本で広く使用されている認知機能検査で、記憶、見当識、計算、言語能力などを総合的に評価します。特に高齢者の認知症スクリーニングとして有用です。
時計描画テスト
指示に従って時計を描くことで、空間認知や計画力を確認します。
臨床認知症評価尺度(CDR)
認知症の重症度(進行の程度)を評価するための検査で、アルツハイマー型認知症などの診断や経過観察に広く使われています。
※当院では主にMMSEと長谷川式簡易知能評価スケールを行います
③画像検査(CT/MRI)
脳の構造を確認するためにCTやMRI検査が行います。脳の萎縮や脳血管障害の有無を評価することで、認知症のタイプを特定する手助けになります。
※当院では画像検査は行っていないため、画像検査が必要な場合は、専門の医療機関へ画像検査を依頼します。
④血液検査
甲状腺機能異常、ビタミン欠乏、感染症など、認知症に似た症状を引き起こす他の病気を除外するために行います。
検査を受ける際のポイント
早期受診の重要性
認知症は早期発見・早期対応が重要です。早い段階で適切な治療や支援を受けることで、症状の進行を遅らせたり、生活の質を維持させたりすることが可能です。
家族の協力
本人が症状を自覚しにくい場合もあるため、家族の観察や情報提供が診断の精度を高めます。
緊張しなくて大丈夫です
検査はあくまで現状を把握するためのもので、合否を判定するものではありません。リラックスして臨むことが大切です。
まとめ
認知症の診断は、問診、認知機能検査、画像検査、血液検査など、さまざまな手法を組み合わせて行われます。気になる症状がある場合は、「年齢のせい」と決めつけず、早めに専門医に相談することが大切です。
当院でも認知症に関するご相談や検査を受け付けております。少しでも不安を感じたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

参照
厚生労働省 認知症施策
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 認知症情報ポータル