パニック障害になりやすい人の特徴とは?性格・体質・育ち・過去の経験まで【医師監修・チェックリスト付き】

パニック障害になりやすい人のタイプや傾向を伝えるアイキャッチ画像。真面目・HSP・抱え込み型などを想起させる構成

パニック障害は、前ぶれなく強い不安や動悸におそわれる発作がくり返し起こり、日常や仕事に影響が出る病気です。

これは性格の弱さではありません

感じやすさや自律神経の敏感さ、疲れやストレス、過去の経験などが重なって起こりやすくなります。

焦らず、適切な治療や対処を、できる範囲から始めていきましょう。

この記事のポイント

なりやすい人の傾向:感受性が高い/先のことを心配しやすい/睡眠不足・カフェイン過多 など

受診の目安:発作が2回以上+外出や仕事に支障/強い希死念慮は至急相談

よくある誤解と正しい理解:性格の問題ではなく、体質や自律神経のバランスなど様々な要因がある

相談先:当院・公的窓口(本文末に一覧)

※症状・診断・治療の基礎はこちらをお読みください。

最終更新日:2025年8月25日

目次

パニック障害 簡易セルフチェック(受診の目安)

・動悸・息苦しさ・胸の圧迫感などが突然強まり数分でピークになる発作がある

・「また起こるのでは」と強い不安(予期不安)が続く

・発作が怖くて電車・人混み・行列などを避けている/一人での外出を避けがち

睡眠不足やカフェインで悪化しやすい

・こうした状態が1か月以上続き、生活・仕事に支障がある

3つ以上当てはまるなら、医療機関に相談を検討しましょう。チェックは診断ではありません。

治療は薬物療法や認知行動療法が効果的であることが、公的機関や医療機関でも示されています。

なりやすい人の性格的特徴

パニック障害になりやすい人の特徴は以下の通りです。

パニック障害になりやすい人の特徴を示すイラスト。完璧主義などの性格傾向、HSPのような感受性、相談できずに抱え込みやすい傾向の3タイプを円グラフで解説。

真面目・完璧主義・責任感が強い

真面目で責任感が強く、常に完璧を求める人はストレスをため込みやすく、心身が緊張し続ける傾向があります。

小さな失敗も強く自分を責めやすいため、不安や焦りが高まりやすく、発作の引き金となることがあります。

ただし「性格が弱い」からではなく、こうした特性が発症リスクを高める要因の一つと考えられます。

HSP傾向・抱え込みやすい

音や人の感情に敏感なHSP気質の人や、悩みを一人で抱え込みやすい人は、ストレス刺激を強く受けやすい特徴があります。

周囲に相談できず不安を内側に溜め込むことで、自律神経が過敏になりやすく、パニック発作につながることがあります。

「感受性が強い」こと自体は長所でもあり、環境次第で大きな力を発揮する面もあります。

からだの違和感に注意が向きやすい

体の変化や違和感に敏感で「少しの動悸や息切れが大ごとに思える」人は、不安の悪循環に入りやすい傾向があります。

身体症状に注意が集中すると「何か重大な病気では」と思い込み、不安がさらに高まり発作を誘発することがあります。

これは心臓や呼吸の異常そのものではなく、不安と感覚の結びつきが強い人に起こりやすい現象です。

パニック障害になりやすい性格傾向は「心が弱いから」ではありません

真面目さや責任感の強さ、感受性の豊かさは本来すばらしい特性であり、環境次第では大きな強みになります。

しかし、過度のストレスや生活要因が重なると、心身に負担となり症状につながることがあります。

大切なのは「性格のせい」と思い込まず、早めに専門家へ相談して適切にケアすることです。

体質・素因と生活要因

家族にパニック障害や不安障害の既往があると、素因として発症リスクがやや高まることが知られています。

さらに、睡眠不足カフェインのとり過ぎ過労不規則な生活慢性的なストレス環境は、自律神経の働きを乱しやすく、発作の引き金になります。

こうした体質的な要因生活習慣が重なると、発症につながりやすいと考えられます。

心理社会的要因(育ち・過去の経験)

幼少期の親子関係や過度な緊張を強いられる環境、いじめやトラウマ体験などは、その後の不安感受性に影響することがあります。

パニック障害の原因イメージイラスト。家庭での過保護や支配、見捨てられ不安と、いじめ・トラウマなど過去の不調が心に影響する様子を解説。


過去の出来事が「不安は危険」と強く結びつくと、日常の小さな不安や身体感覚にも過敏に反応しやすくなり、発症の素地となることがあります。

性差・年代・家族歴の傾向

パニック障害は誰にでも起こりうる病気ですが、特に20〜30代で発症しやすく、女性は男性の約2〜3倍と多い傾向が報告されています。

これはホルモンの影響や社会的な役割の違いが関与すると考えられます。

さらに、家族に不安障害やパニック障害の既往があるとリスクはやや高まりますが、遺伝だけで決まるものではありません。

環境やストレス要因が重なることで発症につながるとされています。

補足:基礎知識(要約)

パニック障害は、理由なく突然生じる強い不安身体症状(動悸・息苦しさ・めまいなど)が特徴です。

パニック障害のよくある症状を説明するイラスト。動悸や息苦しさ、胸の圧迫感、手足のしびれや震え、「死ぬかもしれない」と感じる強い恐怖など、パニック発作でよく見られる症状を示している。



発作は数分でピークに達し、その後「また起こるのでは」という予期不安や、特定の状況を避ける行動につながることがあります。

診断にはDSM-5などの国際基準が用いられ、治療には薬物療法や認知行動療法が有効とされています。

→ 症状や治療の詳しい解説は 、以下の「パニック障害とは|症状・診断・治療 」の記事をご覧ください。

根拠と参考情報

本記事の内容は以下の公的機関・専門サイトを参考にしています。詳細を知りたい方は原典をご確認ください。

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)こころの情報サイト
 パニック障害の症状や治療法についての公的な解説。
 https://www.ncnp.go.jp/hospital/panic.html

NCNP「パニック障害」総論ページ
 パニック障害に関する基礎情報。
 https://www.ncnp.go.jp/hospital/anxiety.html

MSDマニュアル(日本語版・専門家向け)
 パニック障害の診断・疫学・治療についての国際的な解説。
 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/psychiatric-disorders/anxiety-and-stressor-related-disorders/panic-disorder

学会誌・医学データベース(J-STAGE, PubMed)掲載のレビュー論文
 パニック障害の有病率・性差・治療エビデンスに関する学術的知見。

安心して回復への一歩を踏み出すために

パニック障害は、早めに相談するほど回復への道が近くなります。

川口市周辺で受診先をお探しの方は、当院でも対応しておりますので、安心してご相談ください。

パニック障害は、決して「性格の弱さ」「自分の努力不足」が原因ではありません。誰にでも起こりうる病気であり、薬物療法や認知行動療法など、効果が実証された治療法があります。

大切なのは、つらい症状を一人で抱え込まず、「もしかして」と思ったら早めに相談すること。正しい知識とサポートを得ることで、不安に縛られた生活から少しずつ解放されていけます。

自分の傾向を知ることは、回復への大切な第一歩です。どうか安心して、必要なときに専門家の力を借りてください。

【免責事項】
本記事は医療機関による情報提供を目的としており、個別の診断・治療を代行するものではありません。
ご自身の症状については、必ず医師・医療機関にご相談ください。

【この記事の監修医】
 今雪 宏崇
(精神科医・川口メンタルクリニック院長)

精神科専門医。地域のメンタルヘルス支援に携わる。
外来診療に加え、訪問診療にも注力し、通院が難しい方へのサポートも行っている。

▶ 詳しいプロフィールは 院長紹介ページ をご覧ください。

最終更新日 2025年9月12日

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