はじめての精神科、なにを話すべきか?受診前に知っておきたい、話す内容とポイント

「こんなことで受診してもいいのかな…」と悩んでいませんか?
「最近気分が落ち込むことが増えた」
「眠れない日が続いている」
「仕事や学校に行くのがつらい」
「誰かに相談したいけど、どう説明すればいいかわからない」
精神科を初めて受診するとき、多くの方がこうした思いを抱えています。
そして同時に、「何をどう話せばいいの?」「ちゃんと伝えられる自信がない」といった不安もよく聞かれます。
当院では、診察の前に相談員によるインテーク(予備面談)の時間を設けています。
このインテークでは、あなたの困りごとや受診のきっかけを、リラックスした雰囲気の中で一緒に整理することができます。
この記事では、初診時にどんなことを話すのか・どこまで話すべきか・準備しておくと安心なことについて、精神科医の視点からお伝えします。
はじめに 診察の前にインテークがあります
当院では、初診の方に対して、医師による診察の前に相談員とのインテーク(予備面談)を実施しています。
これは、
「今どんなことで困っているのか」
「どんな経過で今に至っているのか」
「生活や仕事にどのような影響が出ているか」
などを、医師に伝わりやすい形に一緒に整理していく時間です。
「うまく話せるか不安」「緊張して頭が真っ白になるかも」という方も、どうかご安心ください。
あなたの話しやすいペースで、必要に応じてこちらから質問をお出ししながら、丁寧に進めていきます。
精神科初診では、どんなことを聞かれるの?
まず大前提として、うまく話せなくても大丈夫です。
医師は「話のうまさ」ではなく、生活や症状の変化・背景を知りたいと思っています。
初診では、以下のような項目を中心に聞かれることが多いです
1. 今つらいと感じていること(主訴)
▼どんなことで困っているか
▼それがいつ頃から始まったのか
▼日常生活や仕事・学業にどう影響しているか
「毎日涙が出てしまう」「些細なことで怒りが抑えられない」「朝起きられない」「夜眠れない」など、できるだけ具体的に話せると伝わりやすくなります。
2. 過去や現在のこころ・からだの病歴
▼精神科にかかったことがあるか(病名や薬の名前が分かれば理想)
▼身体的な病気・服用中の薬
▼家族の中でこころの病気を経験した人がいるか
あらかじめ整理してメモしておくと、緊張しても落ち着いて話しやすくなります。
3. 日常生活や性格傾向について
▼睡眠、食事、仕事や学業、対人関係などの様子
▼昔からの性格(まじめ、内向的、几帳面、衝動的…など)
▼不安になりやすいかどうか、気分の波があるかどうか
医師は、現在の症状だけでなく、日常生活との関連や経過、ストレスの背景を把握しようとしています。
どう話せばいいの?—「正解」はありません
精神科では、話すことに「こうしなければならない」というルールはありません。
伝え方に自信がなくても、「どう説明したらいいか分からないけど、最近しんどくて…」と、そのまま話してくれて構わないのです。
言葉が詰まっても、涙が出ても、途中で黙ってしまっても、それもあなたの大切な表現なのです。
うまく言葉にできなくても、表情や態度、間の取り方など、あなたの“全体の様子”を見ながら丁寧に聴こうとするのが精神科医の仕事です。
受診前にメモしておくと安心なポイント
▼今つらいこと、心配なこと(思いつくまま箇条書きでOK)
▼症状が始まった時期やきっかけ
▼生活で困っていること(仕事に集中できない、人付き合いがつらい、など)
▼睡眠時間、食欲、体調の変化
▼過去の治療歴、服薬歴(あれば)
▼自分の性格や考えぐせ(気にしすぎる、完璧主義、衝動的、など)
スマートフォンのメモ帳でも、紙に書き出してもOKです。
「忘れないように持ってきました」と見せていただけると、医師としてもとても助かります。
まとめ―“話す場”としての精神科を、気軽に使ってください
精神科の初診は、あなたが「今つらい」「助けてほしい」と感じていることを一緒に整理していく時間です。
どこから話せばいいか分からなくても、思い出せることから、伝えられることからで構いません。
うまく話せなくても、少しずつで大丈夫です。
それでも受診という一歩を踏み出してくれたことを、私たちは大切に受け止めています。
「ちょっとしんどいかも」と感じたときは、ぜひ気軽にご相談ください。
私たちは、あなたが安心して話せる場所でありたいと考えています。