【ご家族向け】精神科にどうやって連れて行く?

身近に「精神科を受診させたい人」がいる方へ

大切な人が精神的な不調を抱えているとき、「病院に連れて行ったほうがいいのかな?」と悩むことがあるかもしれません。心配のあまり家族や本人以外の人が医療機関に相談しても、「本人を診察しないとわからない」と言われることがほとんどです。
この記事では、精神疾患のサインを見つける方法や、スムーズに病院の受診につなげるポイント、外に出るのが難しい人のために、医師が定期的に家まで診察に来てくれる「訪問診療」についても解説します。
適切なサポートをすることで、本人が治療を受けやすくなり、周囲の負担も軽減されます。精神科受診や訪問診療といった選択肢を活用しながら、心の健康を保つ方法を考えてみましょう。
精神疾患の初期対応

精神疾患を抱える人の数は年々増えています。厚生労働省のデータによると、2017年の外来患者数は約389.1万人で、2002年と比較すると約165.2万人の増加が見られます。
大切な人が「もしかして精神的な病気かもしれない」と感じたら、どのような対応が求められるのでしょうか?
以下の2つのポイントを確認してみましょう。
- 精神疾患かも?と思ったら
- 精神疾患らしき症状に気づいたときの注意点
精神疾患かも?と思ったら
精神疾患にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる症状が現れます。以下に代表的な精神疾患とその兆候をまとめました。
疾患名 | 主な症状 |
気分障害(躁うつ病・うつ病) | 気分の落ち込み、イライラ、集中力の低下 |
統合失調症 | 会話や行動のまとまりのなさ、突然の興奮、幻覚、妄想 |
適応障害 | 気分の落ち込み、回避行動(学校や職場に行けない)、不眠 |
認知症 | 判断力低下、物忘れ、迷子、時間や季節の感覚の喪失 |
各疾患を詳しく知りたい方はこちらをクリック
上記はあくまで代表的な症状を簡易的にまとめたものです。勝手な素人判断はしないようにしましょう。
症状に気づいたときの注意点
精神的な不調を抱えている人は、自分が病気だと気づいていない、病気であることを認めたがらないことがあります。そのため、いきなり「あなたは病気だから病院に行こう」と言われると、拒否感や抵抗を示すことがあります。
受診させたい一心で無理に説得しようとせず、本人の不安を軽減しながら、少しずつ話を進めることが大切です。あくまで本人が納得して受診できるようにしましょう。
精神科受診をスムーズにするためのポイント

精神科の受診を促すには、適切なタイミングや方法を選ぶことが大切です。
「最近、元気がないけど大丈夫?」と声をかけながら、少しずつ安心できる情報を伝えたりするのが効果的です。
事前にできること
まずは、受診を勧める前に準備をしましょう。
- クリニックの情報を調べる
診察の流れや予約が必要かの確認 - タイミングを見極める
症状が落ち着いているときに話を持ちかける - 相手の状態を継続的に観察する
いつから、どのような症状が続いてどう変化しているかをメモしておく
本人に向けて
本人が精神科受診に抵抗がある場合、家族や信頼できる人の付き添いを提案して安心感を持たせたり、「心の不調も、体の病気と同じように、病院に行くことで適切な対処法が見つかるのでは?」と話してみるのも良いでしょう。以下に伝え方の例をあげてみました。
NG

あなたはおかしい。病気だから早く病院に行くべき。
OK



最近あなたが辛そうに見えてとても心配なの。
一度病院で相談してみるのはどう?
大切なのは、無理に説得しようとするのではなく、本人の気持ち、本人の現在地に寄り沿いながら受診の必要性を伝えることです。すぐに受診を決断できない場合も、押しつけず、長期的に見守るよう心がけましょう。
精神科訪問診療の活用


本人に受診を促しても外出が難しい場合で、定期的な医師の診察が必要なときは、訪問診療を活用するのも一つの方法です。
訪問診療では、医師が定期的に自宅を訪れて診察を行い、必要に応じて薬の処方や生活のアドバイスします。
訪問診療のメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 外出が困難な場合でも、継続して医師の診察を受けられる
- 家族も診察に立ち会えるため、安心感がある
- 移動にかかる時間、交通費、ストレスの軽減
精神科の訪問診療を希望する場合は、まず医師に相談し、利用可能なサービスや制度を紹介してもらうとよいでしょう。
川口メンタルクリニックでも訪問診療を行っています。当院の訪問診療を検討される方は、以下の記事を参考にしてください。
こころの健康を守るために


精神科の受診をためらう方に対し、周囲ができることもたくさんあります。無理に受診を強要するのではなく、あくまで本人の気持ちを尊重しながら、安心して治療できる環境を整えていくことが大切です。
外出が難しい場合には、訪問診療を活用することで、定期的な診察を受けることが可能です。訪問診療を取り入れることで、本人だけでなく、家族も適切なサポートを受けられます。
大切な人の心の健康を守るため、精神科受診や訪問診療の選択など、必要な支援を前向きに取り入れていきましょう。