自閉症スペクトラム(発達障害)
自閉症スペクトラムとは
自閉症スペクトラムとは、「人とのコミュニケーションが苦手で、こだわりがある」といった特性をもつ状態を総称したものです。
以前は、自閉的な特性があっても知的な発達の遅れが見られない状態を「高機能自閉症」、知的な発達と言葉の遅れが見られない状態を「アスペルガー症候群」と呼び、「典型的な自閉症」とは区別していました。
今では「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」などの区別をなくして、自閉症の特性を持つ連続体としてとらえる「自閉症スペクトラム障害または自閉症スペクトラム症」という診断名に統合されています。
自閉症スペクトラムの原因
現時点では原因は不明ですが、脳の特定の部位に問題があるというわけではなく、脳や中枢神経系のシステム全体の働き方、対人関係上の脳や神経系の情報処理の仕方が異なるのではないかと考えられています。
自閉症スペクトラムはその患者さんの生まれながらの特性であり、親の育て方やしつけが悪いわけではありません。
自閉症スペクトラムの症状
対人関係と社会的コミュニケーションに特性があります。
特徴は年齢により大きく異なりますが3歳までに、症状は出現し、就学前は激しい症状を見せることがあります。
社会性の問題
- 対人関係が苦手
- 相手の気持ちが分からず、トラブルになりやすい
- 浮いてしまう
コミュニケーションの問題
- コミュニケーションが取れない
- 話しがまわりくどい
想像力の問題
- 想像力が乏しく、切り替えが苦手
- 目の前のないものは理解しにくい
- 興味や関心の範囲がせまくこだわりがある
自閉症スペクトラムの診断
診断は対話や普段の生活の聞き取りが中心になります。
また、自閉症スクリーニング質問票(ASQ)日本版なども参考にして、自閉症スペクトラムの診断基準となる特性や社会性などを評価します。
自閉症スペクトラムの治療
自閉症スペクトラムの治療は、早く発見して、療育を始めることですが、療育には時間も手間も必要とします。
しかし、TEACCHプログラムなどの治療プログラムを行えるような施設は数が少なく、適切な療育を受けることが困難な状況です。
自閉症スペクトラムの患者さんに生じる、激しい自傷や興奮、気分の変動などに対しては対症療法として薬物療法が行われます。