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統合失調症

統合失調症とは

統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的なこころの病気です。
それに伴って、人々と交流しながら家庭や社会での生活を営むことが出来なくなり、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすいという特徴を併せ持っています。
多くのこころの病気と同じように慢性の経過を取りやすく、その間に急速に幻覚や妄想が強くなる時期が出現します。
新しい薬の開と心理社会的ケアの進歩により、初発患者さんのほぼ半数は完全かつ長期的な回復を期待できるようになりました。
以前は「精神分裂病」が正式名称でしたが、「統合失調症」へ名義変更されています。

統合失調症の原因

統合失調症の原因は明らかではありませんが、患者さんの脳に軽度の変化があることが明らかになっています。
ひとつは、脳内の神経伝達物質の異常です。
神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンなどの作用の異常が関係していると考えられています。

統合失調症で認められる症状

幻覚・妄想

幻覚と妄想は、統合失調症の代表的な症状です。
幻覚や妄想は統合失調症だけでなく、他のいろいろな精神の病気でも認められますが、統合失調症の幻覚や妄想には一定の特徴があります。
幻覚と妄想をまとめて「陽性症状」と呼びます。

幻覚とは、実際にないものが感覚として感じられることです。
統合失調症で最も多いのは、聴覚についての幻覚、つまり幻聴で、誰もいないのに人の声が聞こえてくる、他の音に混じって声が聞こえてくる、という幻聴です。

妄想とは、明らかに誤った内容であるのに信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことです。

  • 「近所の人の咳払いは、自分への嫌がらせだ」(関係妄想)
  • 「道路を歩くと、皆がジロジロ見る」(注察妄想)
  • 「知らない人に狙われている」(迫害妄想)

これらの内容を総称して被害妄想と呼びます。

感情の障害と意欲の低下

統合失調症の患者さんは易怒哀楽の感情に乏しくなり、自分の周りの出来事だけでなく、自分自身の身体のことにも、無関心、冷淡になっていきます。
さらに、自発性や能動性の低下が起こります。患者さんは積極的に仕事や勉強をしようとしなくなり、一日中生産的なことは何もせず怠惰な生活を送り、退屈を感じません。
症状が進行すると、身だしなみもだらしなく、動作も不活発になり、終日臥床して無為に過ごすようになります。
このような状態をまとめて「陰性症状」と呼びます。

統合失調症の診断

統合失調症と診断するためには、典型的な症状が1か月は続き、何らかの症状が6カ月以上持続することが必要とされます。
同じような症状でも、その持続が短いときには別の病気である可能性が高いからです。
幻覚や妄想を生じる病気には統合失調症以外にもさまざまな病気があります。
診断には専門医の判断が必要になります。

統合失調症の治療

統合失調症の治療は、薬物療法と心理社会的な治療を組み合わせて行います。
心理社会的な治療とは、精神療法やリハビリテーションをさします。
薬物療法なしに行う心理社会的な治療には効果が乏しく、薬物療法と心理社会的な治療を組み合わせると相乗的な効果があることが明らかとなっています。

薬物療法

統合失調症の治療に用いられる薬は抗精神病薬と呼ばれ、さまざまな種類があります。
個々の患者さんの症状に対して、なるべく適切な薬を選択することになります。
一人一人の患者さんに合った種類や量を決めるためには、ある程度の試行錯誤が必要となります。
患者さんごとに薬の種類や量の個人差が大きいことは、精神疾患に限らず慢性疾患の薬物治療の特徴になります。

リハビリテーション

統合失調症の患者さんは日常生活全般で「生きづらさ」を抱えています。
統合失調症のリハビリテーションでは生活の質を回復し、病気であっても、生きる意欲と希望を回復し、充実した人生を目指します。

生活機能訓練では対人関係やコミュニケーションにおける問題への対処を訓練します。
作業療法では仕事や家事などでの集中力や作業能力の回復を目指します。
また、家に閉じこもり、社会性や活動性が低くなっている患者さんには、社会復帰の最初のステップとして、「デイケア」があります。
さらに、地域活動支援センターや、就労継続支援事業などを行っている施設は、就労に向けての次のステップとなります。

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