うつ病とは?症状や原因、治療方法について

  • 不安な気持ちが頭から離れない
  • 何に関してもやる気が出ず、集中力がなくなる
  • 学校や職場に行けず、他人と関わるのがつらい
  • 頭痛や肩こりがひどいが、検査をしても異常はない………。

このような症状に悩んでいる人は、いませんか?

もちろん、私たちは日常生活を送るうえでさまざまな出来事を体験します。その影響で憂うつな気分になったり、疲労感が増したりすることもあるでしょう。しかし、上記のような症状が一定期間続く場合は、うつ病の可能性が高いと言われています。

この記事では、うつ病の症状や原因、治療方法についてお伝えします。

もちろん、私たちは日常生活を送るうえでさまざまな出来事を体験します。その影響で憂うつな気分になったり、疲労感が増したりすることもあるでしょう。しかし、上記のような症状が一定期間続く場合は、うつ病の可能性が高いと言われています。

目次

この記事では、うつ病の症状や原因、治療方法についてお伝えします。

うつ病になると、心と身体にさまざまな症状が現れます。具体的には、以下の症状が挙げられます。

1.身体の症状

  • 頭痛、頭が重い、肩こりがひどい
  • 倦怠感がある
  • 不眠または過眠
  • 食欲不振
  • 腹痛、下痢 など

2.心の症状

  • 強い不安感が現れる
  • やる気のなさや集中力の低下
  • イライラ感が続く
  • 憂うつになり、気分が晴れない
  • ちょっとしたことで涙が止まらなくなる など

上記の心と身体の症状が2週間以上続く場合は、うつ病の疑いがより高くなるため、医療機関を受診することをおすすめします。しかし、うつ病初期では身体の症状ばかりが現れる場合も多いと言われています。

例え、心の症状があまり生じていなくても、身体の症状がひどい時は一度医師に相談してみましょう。

うつ病の原因として考えられるもの

うつ病の原因は、未だ明確には分かっていません。個人の性格によるものや遺伝的なもの、さまざまな要因が重なり合って発症するなどが理由として考えられてきました。しかし、最近の研究では、脳内の神経伝達物質が影響している可能性が高いと言われています。

うつ病に関連性がある脳内伝達物質には、セロトニンとノルアドレナリンの存在があります。セロトニンやノルアドレナリンは心を落ち着かせたり、やる気を向上させたりする役割があります。しかし、何かしらの影響でセロトニンとノルアドレナリンの分泌が減ってしまうと、心が不安定になったり、やる気が起きなかったりという状態に陥ってしまうのです。

また、セロトニンとノルアドレナリンは、人の感情に関わる情報を伝えてくれる物質でもあると報告されています。そのため、

  • 大切な人との別れや死
  • 仕事や受験での失敗
  • いじめを含む人間関係のトラブル
  • 環境の変化

などのストレスがかかると脳の神経伝達物質の分泌量が不足し、スムーズな情報伝達ができなくなるといわれています。その結果、うつ病が生じやすくなるのです。

参考
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002/

うつ病の主な治療方法は?

うつ病になってしまうと、気分の落ち込みや疲労感が続き、当事者はもちろん、家族などの周囲の人も不安な毎日を過ごすことになるでしょう。しかし、うつ病は一生涯のうち、約15人に1人が体験するとされています。つまり、決してめずらしい疾患ではなく、誰もが陥る可能性が高いのです。

また、うつ病は適切な治療を受ければ、緩和や回復するケースも少なくありません。精神科や心療内科においては、うつ病の人に対して次のような治療が行われます。

出典(約15人に1人) 
https://www.mhlw.go.jp/mobile/m/kokoro/kokoro/youth/mobile/stress/know01.xhtml

1.薬物療法

うつ病で主に使用される薬のひとつに、抗うつ薬があります。抗うつ薬を服用すると、気分の落ち込みや意欲低下などの緩和が期待できます。また、不安感や焦燥感が強い場合は、抗不安薬を併用することも。さらに、不眠がひどい人には睡眠薬が処方されるケースもめずらしくありません。

ただし、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬にはさまざまな種類があるため、当事者の状態に合わせたものが処方されます。

2.心理療法

うつ病の人は、マイナスな考え方や感じ方を抱えている傾向が多いものです。その影響で、症状がより重くなっているケースもあります。そのため、必要に応じて心理療法を取り入れることが重要になります。

特に、認知行動療法は、当事者の認知(考え方や捉え方)のゆがみを修正し、よりふさわしい行動ができるようにサポートする心理療法です。認知行動療法は医師や心理士などが担当します。

認知行動療法は効果的な心理療法ではありますが、当院では実施していません。

3.生活習慣を整える助言や指導

うつ病になると、心と身体にさまざまな変化が生じます。例えば、夜に眠れないため、朝方に床に入るという、昼夜逆転の生活になってしまうことも少なくありません。また、意欲が低下する影響で家事が面倒くさくなり、いつも同じ物を食べて過ごすというケースもめすらしくないでしょう。

しかし、このように乱れた生活習慣のままだと、うつ病の緩和や回復が遅くなる可能性があります。生活習慣を整えるために、眠気が来なくても夜は布団に入る習慣をつけることや栄養が偏らない食事と摂り方などをアドバイスします。

なお、症状がひどい場合は生活習慣を整える以前に、十分な休養が優先されます。そのためには、仕事などから離れることが効果的です。健康保険に加入している人であれば、休職しても現金が支給される傷病手当の申請が可能なため、医師と相談のうえで利用することを考えてみましょう。

4.必要があれば家族や周囲の人に対する支援を行う

うつ病は当事者自身が治療をするのはもちろんのこと、家族などの周囲の人の理解や支えが必要になります。なぜなら、当事者が治療に前向きであっても、周囲の人にうつ病の知識がなかったり、間違った対応をされたりすると、症状がより悪くなってしまう危険性があるからです。

うつ病は環境の影響を受けやすいため、周囲の人がうつ病の当事者を受け入れ、ストレスを与えないような接し方をすることが重要だと言えます。そのためには、医師や専門スタッフがうつ病の症状やふさわしい対応法などを学んでもらうための支援を、当事者の周囲の人に行う場合があります。

5.復職のための訓練を受けることもできる

うつ病の治療を続けていれば、しだいに当事者の症状が緩和、回復することが大いに期待できます。しかし、休職をしていて元の職場に戻る人の場合は、復職前にある程度の仕事ができる状態にまで体調を整えておく必要があるでしょう。このようなケースにおいては、復職支援(リワーク)を試してみることをおすすめします。

復職支援とは、復職予定で症状が安定した人を対象に職場に戻るための訓練を行うプログラムのことを言います。具体的には、従来の出勤時間に合わせて参加することで、休職前の生活リズムに戻す練習を行ったり、ストレスを溜めにくいコミュニケーション方法などを学んだりすることが目的です。

復職支援のプログラムは、原則的には3ヶ月の実施です。しかし、個人の体調に合わせて訓練期間を延長することもできるため、無理をせずに医師や担当スタッフと話し合いを重ねながら進めて行きましょう。

復職支援は有効な訓練法ではありますが、当院では行っておりません。

うつ病は早期発見と適切な治療で乗り越えられる

うつ病の初期症状は、「なんだかだるい」「頭が重い」などのちょっとした違和感から始まるケースが多いものです。そのため、つい自分自身の変化を見逃してしまうこともあるでしょう。しかし、うつ病は症状が軽いうちに治療を進めることで、当事者も支える周囲の人も苦しみや負担が軽くなると言われています。

心と身体に異変があった時は「どうせたいした問題ではない」と軽く考えずに、医療機関を受診することが大切です。

目次