【厳密に分けなくていい?】適応障害とうつ病の違いとは?

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「自分は適応障害なんでしょうか。それともうつ病なんでしょうか」

Web検索でも、

「適応障害 うつ病 違い」
「適応障害 うつ病 どっち」
「適応障害からうつ病になる?」

といった検索は常に一定数あります。

確かに医学的には、適応障害とうつ病は別の診断名です。

ただ、実際に診療をしていると、

「どちらなのかを厳密に分けること」そのものが、

そこまで重要ではない場面も少なくないです。

なぜなら、

本人が抱えている苦しさや生活への影響は、診断名だけでは決まらないからです。

目次

「適応障害か、うつ病か」が気になる理由

多くの方は、診断名そのものに興味があるわけではありません。

本当に知りたいのは、

「自分は休んでもいい状態なのか」

「このつらさは甘えではないのか」

「仕事を続けるべきなのか」ということだったりします。

だから、「適応障害です」と言われると安心する人もいます。

逆に、「うつ病です」と言われるとショックを受ける人もいます。

しかし、実際には診断名だけで安心したり絶望したりする必要はありません。

なぜなら、適応障害でも非常につらくなることがありますし、

うつ病でも早い段階で回復する人もいるからです。

医学的な適応障害とうつ病の違いは何か?

一般的には、

適応障害は「原因となるストレスが比較的はっきりしている状態」と説明されます。

例えば、上司との関係、異動、パワハラ、

学校でのトラブル、家族問題 などです。

そして、そのストレスから離れると症状が軽くなる傾向があります。

一方で

うつ病は、必ずしも原因がはっきりしているとは限りません

環境が改善しても、気分が上がらない、何も楽しくない、

強い自己否定、希死念慮などが続くことがあります。

これが医学的な違いです。

ただ実際はそんなにきれいに分かれない

職場の人間関係で体調を崩した人がいたとします。

最初は、出勤前に吐き気がする、職場のことを考えると眠れない、

日曜日の夜になると苦しくなる という状態だったかもしれません。

この段階では適応障害と考えることもあります。

しかし、そのまま無理を続けると、

朝起きられない。休日も何もできない。

好きだった趣味も楽しめない。食欲がない。 

生きている意味が分からない。という状態まで進んでしまうことがあります。

こうなると、適応障害とうつ病の境界はかなり曖昧になります。

「適応障害だから軽い」は大きな誤解

適応障害という診断名を聞いて、

「うつ病じゃなくてよかった」と感じる方は少なくないです。

ですが、適応障害だから軽症という意味ではありません!

実際に、休職している方。学校に行けない方。

家から出られない方。涙が止まらない方。

こうした方の中にも、適応障害と診断されている方はいます。

診断名だけを見ると軽く見えてしまうかもしれません。

しかし本人にとっては、

人生が止まってしまうほど苦しいこともあります。

むしろ危険なのは「適応障害だから頑張れる」と思うこと

精神科でよくあるのが、

「適応障害ならすぐ良くなりますよね?」という相談です。

その背景には、

「うつ病ほどではないから頑張らなきゃ」

という気持ちが隠れていることがあります。

しかし、適応障害だから無理しても大丈夫

という意味ではありません。

実際には、無理を続けた結果、状態が悪化し、

休職が長引いたり、うつ状態が深くなったりするケースもあります。

診断名を軽く捉えすぎることで、かえって回復を遅らせてしまうこともあるのです。

診断名よりも見た方がいいもの

本当に大切なのは、適応障害かうつ病かではなく、

今の生活がどうなっているかです。

例えば、朝起きるのが極端につらい。

食事がとれない。お風呂に入れない。

仕事や学校に行けない。何をしても楽しくない。

死にたい気持ちがある。

こうした状態があるなら、

診断名に関係なくしっかり休息や治療を考える必要があります。

逆に、診断名だけを見て、

「適応障害だからまだ頑張れる」

と考えるのは危険なこともあります。

診断名探しに疲れてしまう人もいる

最近はSNSや動画などで

精神疾患の情報が簡単に手に入ります。

そのため、

「自分の症状は適応障害っぽい」

「いや、うつ病かもしれない」と

自分で何時間も検索を続けてしまう方もいます。

ただ、検索を続けても苦しさそのものが

軽くなるわけではありません。

実際には、診断名を確定させることより、

睡眠を整える。休養をとる。

相談する。環境を調整する。

こうしたことの方が回復には

重要だったりします。

まとめ

適応障害とうつ病には医学的な違いがあります。

ただし、実際の診療では両者の境界がはっきりしないことも少なくありません。

また、適応障害だから軽い。うつ病だから重い。

という単純なものでもありません。

大切なのは診断名ではなく、

今の自分がどれだけつらいのか。

どれだけ生活に影響が出ているのか。

そして、これ以上無理を続けて大丈夫なのかです。

精神科を受診する方の中には、

「適応障害かうつ病か知りたい」と思って来院される方もいます。

しかし実際には、診断名が分かったことで楽になるというより、

「今の状態なら休んでいいんだ」

「無理を続けなくていいんだ」と

分かったことで少し安心される方が多い印象があります。

診断名は大切です。

ただ、それ以上に大切なのは、

今の自分の状態を正しく理解し、

必要な休養や支援につなげることなのかもしれません。

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この記事の監修医

川口メンタルクリニック院長

心療内科医・精神科医・精神保健指定医。

日本精神神経学会専門医
日本精神神経学会 認知症診療医
日本医師会認定産業医
日本精神神経学会
日本認知症学会
老年精神医学会

地域のメンタルヘルス支援に携わる。

外来診療に加え、訪問診療にも注力し、通院が難しい方へのサポートも行っている。

詳しいプロフィールは院長紹介ページをご覧ください。

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